strawberry candle (ページ31)

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幸せのトビラページ31

中間side

「お世話になりました」

Aちゃんは傷だらけの笑顔でそう言って施設を去って行った

『では、後は宜しくお願いします』

Aちゃんは、山田さんの家に引き取られることになった

中学までという条件付きで

涼介君が難病を抱えているということ、

保護者がご高齢の女性であること、

Aちゃんの意志を尊重し

同時に現実的なことを考慮して導き出した答えだった

ある意味〝妥協点″だったのかもしれない

あの日から10年の時を経て

俺のこと、覚えてへんやろーなーとは思ってたけど

ま、そんな事はどうでもよくて

問題はAが施設に戻る事を拒んでるってこと

入所の書類も未だに届いてへんし

手荒な真似はしたくないねんけどな～

プルルルップルルルッ

『もしもし』

？「ん？あー淳太か。どないしたん？」

『Aの事保護した警察官いたやんか

　有岡大貴さん…彼に一回Aに接触してもらおうかと思ってさ』

？「周りから固めるってやつ？淳太らしいな笑」

『じゃ、よろしく』

ピッ

俺は子供を保護するオトナ

その子が助けを求めていようがいまいが

俺が、その子が現実的に生活困難であると判断した場合

手を引きに行く

従順な子は俺に手を引かれるままに

やんちゃな子はまず従順になるよう誘導する

本当に従順になる場合もあれば、渋々という場合もある

どっちでもええねんで？俺は

自分の無力さを

オトナに従わなければいけない時と場を

そして、従順になるということの快楽を

それを教えてあげるのが

俺のもう一つの役割やから