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出店をたくさん回って、かき氷を片手に持ち、ローの手を引く。
もう花火が始まる時間だけど、私は河川敷から離れていた。
「おい、どこ行くんだよ。花火見るんじゃねェのか」
「いいからこっちこっち！ 穴場があるの！」
アスファルトの上を歩けば、カランコロン、と下駄の心地よい音が鳴る。
しばらく先に行けば、古びた神社の階段が見えてくる。
ちなみにこの階段から見たんじゃ、花火は見えない。
「足元気を付けてね」
きゅっと手をつないだまま、階段を上がっていく。ここのは一段一段が小さいから、足の長いローには歩きづらそう。
早く行かないとかき氷も解けちゃうし、花火も始まっちゃう。
階段を上がり切って鳥居をくぐる。
それからお社を通り過ぎて奥に分け入っていく。
道は狭くて、この時期は木々が生い茂っているから通るのは大変だけど、なんとかそれを潜り抜ける。
その先には、見晴らしのいい崖の縁があった。
日の沈みかけた、群青が侵食する空が広がり、高い位置にあるから建物も邪魔しないし、他に人もいないから、人ごみを気にする必要もない。
「ね、いい場所でしょ！」
「確かにな」
疲れたー、と、傍にあった手頃な大きさの岩に腰かける。
毎年…まぁ去年は来れなかったけど…花火を見に来るときはここに来る。
母さんに、父さんやエースには内緒だって言って教えてもらった。エースに隠し事をするのはつらかったけど、ローと二人でゆっくり見れるのも悪くない。
花火の時間までもうあと数分。
辺りはすっかり暗くなって、眼下に見える河川敷の、屋台の明かりがぼんやりと光っている。
「ん〜、いちごミルクうま」
待ち時間の間、かき氷をぱくり。
甘くておいしい。きーんてしない、いいかき氷。
ローは、甘いの嫌だ、なんて言って抹茶を選んでた。
私のは練乳かかってるし、激甘だ。
「一口くれ」
くい、と彼の浴衣の裾を引くと、サクッとスプーンを刺しこんで、それを差し出してくる。
こういうのを恥ずかしげもなくやってくれるようになったから、ちょっと成長したかな。
抹茶のかかったかき氷を口に入れると、ほんのり苦いけど、ちょっとだけ甘い、抹茶の匂いが広がる。
「抹茶ウマ」
「そりゃよかったな」
ローはまた自分のかき氷を口に放り込む。
そういや、去年の夏も一緒にジェラート食ったっけ。あれマジでうまかった。
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弥生(プロフ) - 星蘭さん» ありがとうございますー！ きゅんきゅんしてもらえてめちゃ嬉しいです！ (2021年2月2日 8時) (
レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
星蘭(プロフ) - めっちゃ面白いです！もうずっと読んでたいくらい！胸きゅんとニヤけが止まりませんでした……。応援してます！ (2021年1月31日 19時) (レス) id: e03eae3599 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - チョコレートコスモスさん» やったー！ ありがとうございます！ 励みになります…がんばります！！ (2021年1月30日 12時) (レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレートコスモス - イメージの国と花が出てきて設定細かいなって思いました！この作品読んでもっとロー好きになった…というか弥生さんが書くローがめちゃ好き…更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2021年1月29日 0時) (レス) id: 3dca2c4bf3 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - 架印�靴気�» 確かに九州は本州から離れてるので遠いですね…小さい頃のことってなかなか覚えてないですよね。些細なことは覚えてたりするのに、不思議です笑 (2021年1月27日 15時) (レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2021年1月18日 0時
