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用意してあった下駄を履いて、玄関から外に出る。ローは慣れない下駄に手こずってるみたいだった。
「歩ける？ 手貸そうか」
ひゅっと、手のひらを差し出すと、ローはムッと唇を曲げる。
「普通逆だろ」
そう言って、私の差し出した手に指を絡ませて握る。
「手繋ぎたいの！ いいでしょ！」
へにゃりと気の抜けた笑みをこぼすと、繋がれた手がさらに強く握りしめられる。
仕方ねェな、なんて照れ臭そうに笑いながら。
まったく、可愛い奴め。
カランコロン、と木の鳴る音を響かせながら、夕日が沈みそうな空の中、二人で並んで歩く。
出店が開かれている河川敷の方に行くにつれて、人の数も増えてきて、河川敷に着けば、既にたくさんの人でにぎわっていた。
「ロー見て見て！ 射的あるよ！」
出店の中に陽気なお兄さんがやっている射的の店を発見。
そして景品の方に目を見やると
「っは！ ベポクッション肉球ver…！！」
私がまだ持っていない、九州限定のベポのモチモチクッションを発見。あれは手に入れねばなるまい。九州方面に行く用事は特にないから、ここで逃せばこの先しばらくはお目にかかれないぞ。
「またあのクマか」
「可愛いでしょうが！ 肉球でさえあんなに愛らしいのに！
おにーさん！ 一回やらせてください！」
「あいよっ！」
チャリン、と代金を払って、銃に貰った球五発を装填。片目をつぶり、よく狙って引き金を引くと、ポンッと気持ちの良い音が鳴る。
五発連続で撃ったのだけど、微かに動いただけで、落ちる気配はない。
「ぐぬ、…ベポクッションでかすぎる…手強い…」
「…貸してみろ」
すると上から持っていた銃が持ってかれて、お兄さんに代金を払ったローが、球を装填してガチャ、と銃を構えた。
え、何その本格的な体勢。そして何そのガチに獲物を狙う表情。
茫然と私が彼を見ていると、瞬きしているうちに、
「おお！ あんちゃんうまいねェ！」
私が射止めるはずだったベポのクッションが、彼の撃った球によって落とされてしまった。
「ざっとこんなもんだ」
「なんだって…」
お兄さんが渡してくれたベポのクッションを、ドヤ顔で受け取って私の方に振り返った。殴りてぇ。
なんだよこいつ。ハワイで親父に教わったバーロー並みにうまいじゃんかよ。それとものび太君かよ。どういうこった。
「ほらよ」
「ぐ、ぐぬぅ…」
嬉しいような悔しいような、複雑な気持ちで私はベポを受け取った。
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弥生(プロフ) - 星蘭さん» ありがとうございますー！ きゅんきゅんしてもらえてめちゃ嬉しいです！ (2021年2月2日 8時) (
レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
星蘭(プロフ) - めっちゃ面白いです！もうずっと読んでたいくらい！胸きゅんとニヤけが止まりませんでした……。応援してます！ (2021年1月31日 19時) (レス) id: e03eae3599 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - チョコレートコスモスさん» やったー！ ありがとうございます！ 励みになります…がんばります！！ (2021年1月30日 12時) (レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレートコスモス - イメージの国と花が出てきて設定細かいなって思いました！この作品読んでもっとロー好きになった…というか弥生さんが書くローがめちゃ好き…更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2021年1月29日 0時) (レス) id: 3dca2c4bf3 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - 架印�靴気�» 確かに九州は本州から離れてるので遠いですね…小さい頃のことってなかなか覚えてないですよね。些細なことは覚えてたりするのに、不思議です笑 (2021年1月27日 15時) (レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2021年1月18日 0時
