【ONEPIECE】君により【トラファルガー・ロー】 (ページ36)

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「迷惑なら、もう来ねェ…

お前が嫌なら…これ以上関わらねェようにするから…」

最後の方は声が頼りなく震えていた。
なにそれ。

…もしかしてこいつ馬鹿なの？

「まぁ、あんたがそれでいいなら私はそれでも構わないよ。

でも一つ言わせてもらうなら、私は別に昨日のがあんたのせいだなんてちょっとも思ってないし、気にしてもない。あんたと関わるのだって、今は迷惑だとも、嫌だとも思ってない」

「…前は思ってたのかよ」

「んー、正直ちょっと思ってた」

ごめんて、と手を合わせると、トラファルガーはゆっくりと顔を上げた。
今にも泣きだしそうな酷い顔をしていて、思わずぎょっとする。

「ほら、そんな顔しないの」

それから、お盆をテーブルに置いて、両手の人差し指で彼の口の端を力づくで釣り上げさせる。ぶきっちょな笑顔の出来上がりだ。

これは不機嫌なエースによくやる。奴は抵抗するけど、追いかけまわして無理矢理ニッコリさせる。すると、しばらくすれば機嫌が直ってる。単純明快なおバカちゃんでホント可愛い。

「はーい、にっこりー」

にぃっと笑いながらそうやってぐいぐい引っ張ると、トラファルガーはふいっと顔を逸らして口許に手の甲を押し付けるように隠した。

泣いてるのか、それとも笑いこらえているのか、どちらかわからないけど、俯いてしまって全然見えなくなった顔の耳だけが真っ赤になって覗いている。

「あんたが来たいならこればいいよ。
前も言ったでしょ、あんたが私のコーヒー気に入ってくれたなら普通に嬉しいって」

そう言ってお盆を持ち直すと、トラファルガーは、ゆっくりと顔を上げて私を見てから、もうすっかりいつも通りに戻った顔で呟く。

「…コーヒーだけじゃねェよ」

「んあ？なに、デザートもつけろって？」

「言ってねぇ」

甘いもんは食わねェって言っただろうが、と頬杖を突きながら、コーヒーを一口のみ込む。

「あらら、じゃあなに。私に会いに来てるとか～？」

冗談半分でニマニマしながらからかうようにそう言うと、
悪態をついてくると思った彼は、予想に反して、表情を崩さずに

「そうだと言ったらどうする」

私の眼を見つめ返してきた。
おもわずえ、と声が零れて、目を見開き、しばらく沈黙してしまう。

「あー、結構びっくり？」

そう返すと、彼はふっと小さく笑って、いつものように口の端をにやりと吊り上げて笑った。