【ONEPIECE】君により【トラファルガー・ロー】 (ページ32)

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美女の後ろから声をかけてきたのは、

「トラ、ファルガー」

私が律儀に(自分で言うのもなんだけど)お礼をする、と彼を追いかけに行った時に向けてきたような、冷たい目だった。

けどあの時と違って、その目線の先にいるのは、目の前にいる美女だった。

「ロー！なんでここに…？」

焦りでうわずったような声で、美女がそうトラファルガーを見つめる。
彼は死んだような目で彼女を見つめ、その目をバツが悪そうに見つめ返す美女。どうやら悪いことをした、という自覚はあるみたい。

「何やってんだ、お前」

いつもより低い声。たぶん、というか確実に怒ってる。
あまりに怖くてぞぞぞっと体中に鳥肌が立った。

「ち、違うのロー、これは＿」

「違う？何が違うってんだ。弁解があるなら言ってみろ。聞いてやる」

腕を組んで、彼女を上から見下ろした。
やり場のない目線を二人の方に向けると、二人も吃驚して固まっていた。

え、逃げるか？これ逃げた方が良い？もしかしてここで全員消されるんか？

「だ、だってこの女が、抜け駆けしてローに近づいたりするから…」

「(抜け駆けてなんやねん…)」

色々突っ込みを入れたい半分の関西人の血が騒ぐ。
でも今ここで口開いたら多分私は死ぬ…。我慢…。

「…そんな理由で……」

突然トラファルガーが顔に怒りを浮かべ、手のひらを強く握った。
そして、ぎろりと美女を睨みつけ、

「そいつは、お前と違って、俺に付きまとってるわけじゃねェんだよ」

どちゃくそ怖いドイツ語で、そう罵るように言い放つ。
今にも泣きだしそうな美女に、気を使うこともせず、

「金輪際、俺にも、そいつにも近づくな」

怖い顔…としか言いようが無いような顔で、そう吐き捨てる。
そうしたら彼女は、泣きながらその場から走り去っていった。

「あっ、ちょ…待って…！」

追いかけようと立ち上がって手を伸ばすが、まぁ待ってくれるわけもなく。
なんだかいたたまれない気持ちになって、脱力しながら椅子に座り込んだ。

周りはざわざわとしていたが、事が落ち着いたらみんな心配そうな目を向けて、何人かは心配して声をかけてくれたり、ポケットティッシュをくれたりしながら、また通りの往来は先ほどの様に戻った。

その間、トラファルガーは、さっきまでの怖い顔はどこかへ消えて、別人なんじゃないかってくらいに眉をひそめて私を見ていた。