【ONEPIECE】君により【トラファルガー・ロー】 (ページ28)

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十三話:忠告ページ28

「そういうわけじゃない。あんたが来るようになってから、コーヒー淹れるの上手くなったって、マキノさん達言ってくれたし。
大学で会ったら、勉強、教えてくれるし」

俯いていたトラファルガーの顔が上がった。

「もし仮に、あんたが私のコーヒー飲みに来てくれてるって言うなら、それは、その

凄く、嬉しい…かも」

自分で言ってて結構恥ずかしいセリフに、俯いてお盆をキュッと抱きしめる。
ちらりとトラファルガーの顔を盗み見ると、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていて、固まっていた。

何その反応…まさか図星なわけ？

どくん、と心臓が大きく脈打った。

が、コンマ数秒後、我に返って、ふるふると首を左右に振った。

「ちょっと、コーヒー冷める」

固まったままのトラファルガーの脚をげしっと蹴ると、いてっと溢してから、軽く睨みつけてきた。

私はそんな視線をシカトして、そのまま小さく頭を下げて、ごゆっくり、と呟くと、そそくさとカウンターに戻っていった。

・

ある日のシフトの時のことだった。

もうすぐ夏休みだけど何処に行こうかな、なんて考えながら、カップを洗っていると、新しく客が入ってきたので席に注文を取りに行った。

すると、その客は私の顔を見るなり、目を見開いて

「あ、あの！お名前は！」

「へっ？わ、私ですか？」

ひゅいっと自分に指さして確かめると、彼は大きく頷いた。
身長はドイツ人らしく180かそこらで、髪の毛はくるくるの茶髪。そばかすを浮かべたカッコいい、まさにドイツ人て感じの顔の人だった。

「篠宮A、ですけど…」

「Aさん…日本の方ですか…！」

「はい、えと、注文は…」

「あっ、ええと…じゃあAさんのブレンドコーヒー、ひとつお願いします」

私の！名指しされた！いきなり！
ぐいぐいくるなドイツ人！

吃驚したけど、まぁ迷惑そうでもないし、とカウンターに戻って、ブレンドを淹れる。
慣れたようにその客に持っていくと、丁度トラファルガーが店に入ってきた。

コーヒーをサーブしていたところだったが、ふと目が合う。
トラファルガーはいつも彼が座る席に座った。マキノさんに目をやると、くすくすと笑って注文を取りに行く様子はない。

私が行けってか…。

内心ため息をつきながら、さっきの客にコーヒーを出してぺこりと頭を下げ、いつものようにごゆっくりどうぞ、と告げようとすると、

「あのっ」

突然そう呼び止められた。