【ONEPIECE】君により【トラファルガー・ロー】 (ページ18)

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十話:意外とページ18

「なんだその顔は」

「なーにが『なんだ』よ！顔も見たく無いわアンタなんか！」

「ヘェ、それが恩人に対する口のきき方か」

「本当の恩人は自分で『恩人』なんて名乗んないっつの！」

股間に向けて足蹴りをかまそうとしたが、それは軽々と避けられてしまう。
ニヤリと口の端を吊り上げて余裕綽々と笑うトラファルガーが、私の堪忍袋の緒をぶった斬って行く。

「お前、女とは思えねェな」

「アンタは人間とも思えないね！」

「じゃあお前はチンパンジーか？」

「うっさいわ！！」

思い切り鳩尾に向けて蹴りをかますが、彼は飄々とそれを避けてしまった。

くそぉ…このプレイボーイ…

イライラするし、こんな奴に付き合ってる暇なんて私には無い。そもそも限られた留学期間。トラファルガーなんかの為に時間を浪費するわけにはいかん。

無視だ無視。

「ふんっ」

心底不機嫌なまま、私はリュックを背負い直して立ち上がり、トラファルガーに背を向けてそそくさと出口へ急いだ。

追いかけてくる様子もなかったので、ほっと一息。
マキノさんが待つお店へと早足に向かった。

店に出る準備をして、身だしなみチェックばっちり。

急いでホールに立つと、すでに常連さんがマキノさんと談笑していた。

私もお客さんに出すコーヒーやサンドイッチを運んだり、レジに立って会計をしたり、やっと慣れてきた仕事を何とかこなしていた。

夕方ごろになると、お客さんは全員帰られてしまって、今はマキノさんとコーヒーカップやソーサーを洗っている。

シャンクスさんは夜になるとバーの方で働くから今は仮眠をとって、時間があれば夕食の買い出しやらなんやらに出かける。

それがこの二人の日常だった。
その中に私も少しだけ入れて、なんだか新しい家族みたい。

エース、元気かなぁ。

昔から可愛くて甘やかしまくっていた弟の顔を思い浮かべてにんまりと口元が緩む。
ああ、なんて幸せな空間…。

コーヒーの香ばしい香りと、幸せな気分に包まれて、ふわふわしていた。

そんな時、

カランと音を立てたドアベルの向こうから現れた人物は、そんな私の気分をいとも容易くどん底に突き落とした。

例えるなら、そう、晴天から一転して、急にバケツをひっくり返した様な大雨が降り出したような、そんな気分。

「いらっしゃいま、……せ…」

「あ」

なんでアンタがここにいるの、トラファルガー。