【ONEPIECE】君により【トラファルガー・ロー】 (ページ17)

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思わず面食らった。
いやいやいや、この状況で、金貸せ？

「はぁ…？なんで貴方なんかに…」

しかも金「貸せ」ってなにさ。
女の子全員がお前の言いなりになると思うなよ！
顔がいいからって！！

「礼がしたいんだろ。5ユーロ」

ん、と手のひらを差し出してきて、しかももう済んだこと掘り返してきた。
なんて言い草…やっぱりムカつく！！

「礼はいらないんじゃなかったんですか？てゆーか、人に物を頼むときはそれは相応の態度ってもんがあるでしょうが！」

離せこら、と腕をぐいぐい引くが、この男、細身のくせに結構力強い。

「財布」

「はぁ…？」

「取り返してやったのは誰だ？」

「ぐぬっ……あぁわかりましたよ！貸しゃあいいんでしょ！！」

ふんっ！と渾身の力を込めてトラファルガーの手のひらに5ユーロの紙幣を叩きつける。
そしてもう顔も見たくないのでさっさとその場を退散した。

結構でかい声で言い争っていたので、目立っていたと言うのもあるし、何よりレストランの店員さんが不憫だったからだ。

それにもう借りは返した。これであのムカつく野郎に金をたかられることもない。

機嫌最悪のまま、今日の講義はもう無いので、帰ることにした。
この後バイトのシフトを入れてもらっているのだ。

いくらイライラしてるからって、マキノさんたちに迷惑はかけられない。

リュックをしっかり背負って、財布はちゃんと閉まってあるのを確認して、気持ちを落ち着かせて駅に向かった。
さぁ、今から楽しい楽しいバイトだ！

と、思っていたのに

「(トラファルガーいるー！！！)」

同じ電車の中に、トラファルガーがまたまた出没した。
もはやギャグだろお前。

いや待て、まだ慌てる時間じゃ無い。落ち着いて、車両を移動するんだ私。
さぁこれでもう大丈夫。

やり切った……と、清々しい気持ちで最寄駅のホームに降り立って、出口に向けて歩き出すと、

またいるんですが！！！ねぇ！

へなへなとその場にしゃがみ込んでずぅーんと落ち込む。
どう言うことだよ。最寄り一緒とか。これから見るたびに嫌な記憶が想起されるってことでしょ。
何それ最悪。

「もうやだ…」

「何がだ」

しゃがみ込む私に、上から声がかかる。
このドイツで私に日本語で話しかける人間は一人しかいない。

「げっ、トラファルガー…！」

わかっちゃいたけど、嫌な顔は抑えられなかった。