【ONEPIECE】君により【トラファルガー・ロー】 (ページ14)

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彼は眉一つ動かさず、くるりと振り返った。
傍にいた女の子も同じように私の方に振り返る。

トラファルガーが口を開くよりも先に、彼女は私を睨みつけて口火を切った。

「何よあんた」

「へっ、あ、いやぁ…別に怪しいもんじゃなくてですね…」

ぶんぶんと手を左右に振りながらなんとか弁解しようとする。

「はぁ？まさかローに言い寄ろうってんじゃないでしょうね？」

「いやいやいや、なわけないじゃないですか！私にだってまともな趣味ぐらいある…あっ、

あはは…そうじゃなくて…」

あっぶね。今私すごい失礼なこと言いそうになった。
慌ててへらへらと愛想笑いを零しながら、なんて言い訳しようか考える。

いや、私別にこんなこと言いに来たわけじゃないんだって。

「あー…、あの、先日財布を取り返してもらったものなんですけど…」

もう女の子を相手にするのも面倒になって、日本語で話を切り出すと、トラファルガーは私に目線を寄越した。目の下に濃い隈があるし、目つきも悪いし、睨まれてるような気しかしないんだけど…もしかして怒らせた？

「そ、その、あの時は、ありがとうございました！お礼も言わずに不躾なことをしてしまってすみませんでした…！」

ぺこり、と頭を深く下げてそういう。正直もう顔怖すぎて見たくなかったって言うのもあるけどね。

「…あぁ、お前あの時の」

いや忘れてたんかい！
あんた結構な善行してるぞ！武勇伝にしろよ！もうちょいひけらかせよ！

「ねぇロー、何話してるの？何なのよこの女」

女の子はトラファルガーの腕に抱き着こうとした。
が、その手は彼によって振り払われる。

「うっとうしい。離れろ」

「っ…！！」

女の子は涙を流しながら、顔を覆って走って行ってしまった。
悪いことしたな…。私ただお礼言いに来ただけなのに…。さっさととんずらする予定だったから全然いちゃついてても良かったんだよ？

「よ、よかったんですか？彼女さん…」

「あ？別に付き合ってねェよ」

「そ、そっすか…」

モテる男ってすごいな。女一人に嫌われてもへでもないってか。
にしても背ェ高すぎて首痛いわ。縮め。

「…その、ほんと、ありがとうございました。疑っちゃってすみません」

「別に。

ただの気まぐれだ」

「何かお礼を…」

私がそう切り出すと、途端に冷めたような顔をして

「…いらねェ」

彼は吐き捨てるようにそう言うと、踵を返して去って行った。