【ONEPIECE】君により【トラファルガー・ロー】 (ページ13)

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「あぁ、彼ね…」

何か微妙な反応の二人。

私の目線の先にいたのは、ひとりの女の子を連れて…というか付きまとわれてガンスルーして、歩いている、先日のスリ事件の時に財布を取り返してくれた彼。

あの人ここの学生だったんだ…。

てかあの美人の女の子結構話しかけてるのに、あの人スマホばっか見てるじゃん…。

「知ってるの？二人とも」

「彼、トラファルガー・ローって言うのよ」

「トラファルガー・ロー…？名前なっがいね」

それにしたって姓が短い。
珍しい人だなあ、とか暢気なことを考えていると、彼女はふるふると首を横に振った。

「いや、そうじゃなくてね…」

「んえ？」

「トラファルガーは日本人とドイツ人とのハーフなのよ。だから名前が日本人と同じように
姓、名前って続くの」

「へぇ…ハーフ…。だからあの時…」

彼が日本語ペラペラだったのは親の片方が日本人だからってわけか。
なーるほど。

「女をとっかえひっかえで、何人も泣かせてるって話だよ。あんまり近づかない方が良い」

「そう、なんだ……うん、気を付ける」

二人の話に、取りあえず頷いておいたが、でも私は、財布を取り返してくれた彼が、そんなに悪い人だとは思えなかった。
っていうか、

「お礼言ってないじゃん！！」

ガタンっ

日本語をポロリしながら立ち上がると、当たり前だが二人とも吃驚して肩を揺らした。
またやっちまった、学習しないな私…。

「ご、ごめん。私ちょっと用事思い出したから、もういくね！ばいばーい！」

リュックサックをひっつかんで、ぶんぶんと、戸惑う二人に手を振りながら、私は急いでカフェテリアを出た。

さっきの彼が歩いていった方向をきょろきょろと探す。
まだ来たばかりで慣れないから、少し迷いそうになったが、走って追いかけたら長い脚でずかずかと歩く彼の後姿を見つけた。
女の子の方は、気を使う事さえしない彼、トラファルガーを必死に早足で追いかけている。

うーん、私の経験上、このまま突っ込んでいったら確実に話がこじれる。
かと言って財布取り返してくれたのにお礼も言わないまま、なんて日本人の恥だ。

でもあの女の子離れる気配ないしなぁ…。
ま、いっか。

リュックをがさがさと揺らしながらトラファルガーに走り寄って、
その背中に向けて大声で叫んだ。

「あの！！」

私の日本語を聞くと、彼はぴたりと足を止めた。