【ONEPIECE】君により【トラファルガー・ロー】 (ページ12)

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八話:友達ページ12

スマホをスリープモードにして、充電器プラグを指すと、液晶を下に向けてテーブルの上に置いた。

「恋ねぇ…」

わたしだって人並みに恋愛はしてきたつもりだ。
何人か男の子を好きになったこともあるし、付き合ったりしたこともある。
でも大体縁がなくて自然消滅したりとか、普通に玉砕したりとか、こっちから別れを切り出したり、

色々あって、私は今フリーだ。
そもそも私、最近は恋よりも勉強の方が楽しいから、なんて言い訳をしてみたりする。

まぁ、恋よりも前にまずは友達作りからだよね。
友達出来なくてボッチドイツなんて、そんな寂しい留学、あったもんじゃない。

個人的に私は社交的人間だと思ってる。緊張はするけど、初対面の人との話は出来ることにはできるし、ドイツ語だって今までずっと勉強してきたんだ。
これから生きたドイツ語を学んでいくけど、友達になるくらいのコミュニケーションは取れるはず。

・

「へぇ、Aはまだ19歳なんだ」

「そうなの！ 8月で20歳になるんだ～」

今いるのは、大学の中にあるカフェテリアのテーブル席の一つ。
目の前に座るのは、大学で出会った女の子と男の子。一人はドイツ人、もう一人はオーストリア人の、留学先の大学に在籍している大学生。同じ二年生だが、彼らはもう20歳だ。

「こっちの生活はどう？」

「あはは、まだ慣れないけど、凄く楽しいよ」

「そう！それは良かった！」

どっちもめためた美形……見る目薬とはまさにこのこと。
コーヒーカップを手にブラックコーヒーを飲む姿は、まさに絵画の中のモデル。
いやぁ、こんな美男美女と知り合えるなんて私のドイツライフ順風満帆だわ。

まぁガキンチョの私はあまあまカフェオレをチビチビ飲んでいるわけだけど、
それにしたって、身長といい、見た目といい、月とスッポンだ。大人～な色気むんむんの二人とは裏腹に、ロリ顔の私。そしてまな板。今はなきベルリンの壁。…泣いてません。

カフェテリアの窓から見える外の景色を眺めて、ドイツに来たんだ、と感慨深い気持ちになっていたその時だった。

「(あれ？あの人…)」

見覚えのあるシルエットに思わず目線が向く。
あの髪型、あの顔立ち、そして謎デザインのパーカー…

「A？どうかした？知ってる人でもいたの？」

友達にそう声を掛けられて、はっと我に返る。
そして私の目線の先にいた人物に気付いたのか、二人は少し苦笑を零した。