行くぞ ページ7
最初は
そんな私を
気付いても
気付かないフリして
完全にスルーして
目の前を通り過ぎていた紫耀君。
喋りかけたくても
目の前を、物凄い速さで
通り過ぎて行くから
「あぁ、もう諦めようかな」って
そう思うしかなくて…
だけど
5日目あたりになった時
紫耀「いつまでそこにいる気？」
A「うわっっ！！」
いきなり声をかけられ
驚きのあまり
体がビクつき
大声を出してしまった。
しゃがんでいた私のそばに
紫耀君もしゃがんで
同じ高さの目線になった。
紫耀「いつから、俺のストーカーになったんだよ」
A「ごめん…」
私もね、
思ったよ。
これじゃ、まるでストーカーみたいだって。
でもしょうがないじゃんか…
A「会いたかったから。」
紫耀「……」
はぁ、と溜め息をついた紫耀君は
紫耀「Aのそういう頑固なところ昔から変わらないね」
そう言いながら立ち上がり
紫耀「もう会わないつもりだったのに…」
ボソッと言った紫耀君は歩き出す。
紫耀「行くぞ」
数歩先を歩く紫耀君が
振り返らずにそう言った。
A「へ？」
間抜けな私の返事に
振り返った紫耀君
紫耀「お腹空いたから、コンビニ行く」
A「一緒に行ってもいいの？」
頭を縦に振る紫耀君に
慌てて立ち上がり
紫耀の後ろを
一定の距離を保ちながら追った。
嬉しくて
口元が緩んで
きっと今の私
間抜けな顔してると思う。
前を歩く紫耀君は
そんな私の顔には気付いていない。
紫耀君の後ろ姿は
昔と変わらなくて
細身なのに
背中は大きくて
何度触れたいと思ったか
何度抱きつきたいと思ったか
そんな思いを紫耀君は知らない。
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作者名：まる | 作成日時：2019年7月13日 0時
