君にこの気持ち伝えたくて (ページ42)

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S)卵焼きページ42

翌日

寝たのか、寝ていないのか

よくわからない状態で

気付いたら朝になっていた。

なんだか、ずっしりと重い体を起こすと

母親が「ご飯出来てるよ」と呼びに来た。

お腹は空いているはずなのに

食べる気力がない。

ゆっくりと箸を持ち

卵焼きに手を伸ばす。

小さい頃から食べ慣れた

いつもの味なはずなのに

味が全く感じられない。

A「紫耀くん！卵焼き頂戴よ！」

紫耀「やだよ！俺のが無くなるだろ！」

この卵焼き、

Aも好きだったなぁって

ふと思い出す。

弁当の時は必ず入っていた卵焼き。

Aが

自分で作りたいからって

平野家の卵焼きの味、教えてほしいって

俺の母親に

頼み込んだ事もあった。

紫耀「フッ…」

そんな事を思い出して笑った。

俺、まだAが作った卵焼き

食べれてないよ？

目の前の卵焼きに問う。

Aが作ったら、

大量に作りそうだ。

紫耀「ごめん、残す…」

折角作ってくれた

久々の親の手料理も

やっぱり喉を通らなくて

申し訳なく思う。

母「いいのよ！また、いつでも作るから！」

そう言ったママはテキパキと

片付け始めた。

「片付けやるよ」って言ったら

母「こっちはいいから！Aちゃんの所行くんでしょ？早く支度しちゃいなさい」

って、

紫耀「ありがとう。ご馳走様」

そう言ったら、ママは大きく頷いた。

準備をして、家を出る。

Aの家と家が近いから、

徒歩で歩いて行く事に。

この景色も変わらない。

数分歩いた先に

Aの家があった。

近づくにつれて

緊張しだす身体。

「ふぅ…」と

深呼吸をしてから

目の前のインターフォンを鳴らした。