君にこの気持ち伝えたくて (ページ41)

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S)実家ページ41

久々の地元は

何も変わっていない。

タクシーを拾い

やってきた場所はーー…

「紫耀…。おかえり！」

自分の住み慣れた実家だ。

紫耀「ただいま…。」

母親が出迎えた。

連絡はとっていたけど

会うのは久々だ。

俺の雰囲気に何かを察したママは

何も言わず、聞かず

俺を家の中へ誘導した。

母「ご飯は食べた？」

紫耀「うん」

母「何か飲む？」

紫耀「いらない」

母「お風呂に入って温まってきたら？」

紫耀「うん」

何をしてもボーッとしてしまう俺に

ただただ、傍にいてくれていた。

母「紫耀、布団ひいたから

今日はもう寝なさい」

そう言われて時計に目を向けると

もう夜中の1時を回っていた。

紫耀「あ、ごめん」

此処へ来てから、結構な時間を

無駄にしてしまったようだった。

俺が帰って来たら

すぐに、近況を聞きたがるママ。

だけど、

今日は何かを聞くわけでも

話す訳でもない。

紫耀「ママ…」

母「ん？」

紫耀「明日、Aの所に行ってくる」

俺の言葉にビクッと動いたママは

母「うん」

静かに頷き

母「ごめんね」

そう言い残して

自分の寝室へと向かった。

何に対しての「ごめん」だったのか

よくわかっていなかったけど

翌日、

この謝罪の意味を知る事になる。