君にこの気持ち伝えたくて (ページ44)

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S)浴衣と携帯ページ44

み「紫耀…」

弱々しく呼ばれた名前に

顔を上げると

み「見せようか迷ったけど…」

み「紫耀には、全部知っていて欲しいから…」

そう言って出されたのは、

透明袋に入れられた

紫耀「……浴衣…？」

それは、目を背けたくなるほど

赤黒く滲み、所々破れていて

事故の恐ろしさを物語っていた。

【A「浴衣汚れちゃってて、
着れなくなったから…」】

血まみれで…汚れて

破けて…着れなくなった…？

Aが言っていた事を思い出した。

そして、

み「これも…」

無残な姿をした携帯電話。

液晶画面は見れないほどヒビが割れていて

本体は、携帯電話としての役割を

果たせ無いほど潰れていて…

紫耀「………っ‼」

【A「今、携帯壊れちゃってて…
修理に出そうと思ってたから
家に置きっぱなしなんだ。」】

言葉を失った。

Aが言っていたのは

この事で間違いない。

紫耀「……ッ！ぅッ！」

涙がどんどん溢れ出て来る。

拭っても拭っても

止まる事はなくて

アイドルとしての平野紫耀は

此処には居ない。

側から見たら

ダッセェ顔してると思う。

けど、そんな事気にしている余裕なんて

これっぽっちも無かった。

目の前のそれは衝撃が強すぎて

目眩がしてくる。

紫耀「ご、…めんな…さい。俺が…」

紫耀「俺…がっーーー」

夏祭りの日、

ちゃんと連絡を取っていれば…

俺が、自棄にならずに

他の女の子と付き合わなければ

俺がしっかり

気持ち伝えてればーーーっ

今更

過去を後悔したって

仕方ないのに

たらればを言い出したらきりがなくて

みっちゃんに

頭を下げながら

謝り続けた。

そんな俺をみっちゃんは

一向に責める事をしない。

「お前のせいで…！」って

責めてもらった方が

よかったのに…

責めるどころか

みっちゃんは

俺を優しく抱きしめ

一緒に泣いた。