05 ページ9
.
「こっちだこっち!」
「はやくしろ!」
「……なんだ?」
伏黒恵も駆けていく生徒を目で追えば、その先に人だかりができていた。
「陸部の高木と、西中の
何気なしにその遠巻きに紛れて様子を伺えば、
―――――剛速球の鉄球がグラウンドを横切った。
「え、」
ゴイイイイン、と重い金属同士が衝突した音がして。
鉄球はサッカーゴールのコーナーにぶつかって失速した。
そのまま飛べば恐らく30メートル以上の飛距離を記録していたのではないか。
え、あれ砲丸?砲丸投げってあんなに飛ぶの??
「おっし!」
恐らくあれをぶん投げた張本人であろう人物がガッツポーズを決めた。
なんだあれ、人間か?
「凄いなアイツ。呪力なしの素の力でアレか……禪院先輩と同じタイプかな」
「……真希さん、名字で呼んだら怒るよ」
「ツッコむとこそこか?」
すごいな、私もあれぐらい身体能力あったら。
……呪霊を祓う前に、その呪いを呪いから放ってあげることができるのだろうか。
呪いは呪いでしか祓えない。
けれど、呪いの根源である願いを許すことができれば。
もしかしたら。
ふと、そんな事を思って。
黙り込んだ私の頭を、伏黒恵が揺すった。
「う、うわっ!ちょっと何すンの!」
「またなんか考え込んでただろ。
んなちっせえ頭でぐるぐる考えても意味ねーよ、馬鹿」
「〜〜っ、馬鹿じゃない!」
でも、伏黒恵の言う通りだ。考えてたって、何にもできない。
事実、私はまだ一つも呪術師として人を助けられていない。
早く一人前になって、夜蛾学長に恩返しがしたい。
そして。
五条先生にもう一度、私を見てほしい。
いつか胸を張って、言えるように。
私は、強くなりたい。
焦る思いが、私の心を燻る。
人だかりが散っていくのをぼんやりと眺めていた伏黒恵の見てる場合じゃなかったな、という言葉を聞いて我に返った。
とにかく今は目の前の任務、特級呪物・両面宿儺の指の回収を果たさなければ。
「学校閉鎖の件は?」
「ああ、さすがに特級呪物だしな。了承してもらえた。
明日は閉鎖して捜索だ」
「(もう一泊するのね)」
相変わらず五条先生も無茶ぶりが過ぎるな。
歩き出した伏黒恵の後を、ついていこうとした。
その時だった。
.
420人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
早瀬モモコ(プロフ) - リリリンゴさん» リリリンゴさんコメントありがとうございます!とても励みになります!更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!! (2021年10月16日 21時) (レス) id: 8442258d5b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月13日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
リリリンゴ - シリーズ最初から読みました!面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年10月13日 2時) (レス) @page6 id: 5191a43a7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:早瀬モモコ | 作成日時:2021年10月12日 1時