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〈 呪霊の肉などつまらん!人は、女はどこだ! 〉
虎杖に受肉した両面宿儺がビリビリと豪快に衣服を破り去る。
露になった逞しい上半身には、両面宿儺のものと思われる呪印が刻まれていた。
〈 さっきの小娘は、お前か 〉
「!!」
両面宿儺が真っ直ぐに千尋の元へ歩み寄り、気を失っている彼女の首を掴んで持ち上げた。
長い藍色の髪が零れて、夜風が揺らす。
〈 いい時代になったものだ……女も子供も蛆のように湧いている 〉
両面宿儺は千尋を掴んだまま、屋上の縁に立って眼下に広がる街を見下ろした。
〈 素晴らしい……
「!?」
揺すられたからか、危険を感じたからか、息が苦しかったからか。
千尋が両面宿儺の腕の中で意識を取り戻した。
「ぅ……ぁ……」
〈 しかしお前は、いい香りがするな 〉
「千尋!」
千尋が苦し気に両面宿儺の腕を掴む。
しかしその手にはあまり力が入っておらず、その様子を両面宿儺が愉快そうに眺めた。
〈 出来損ないの呪術師が……そうだな、手始めに貴様から殺してやろう 〉
両面宿儺が千尋の首を掴む手に力を入れる。
「千尋……っ!!!!」
が、千尋の身体はそのまま支えを失って地に崩れ落ち、今度は両面宿儺がその手で己の首を掴んだ。
「!!」
「人の体で何してんだよ、返せ。」
「げほっ、げほっ」
荒い息遣いで咳き込む千尋の横で、両面宿儺が自分の手を見つめて、あ?と不快な表情を浮かべた。
〈 オマエなんで動ける? 〉
「?いや、俺の体だし」
「……????」
目に涙を浮かべる千尋が両面宿儺を見上げて。
今の状況を必死に捉えようとしていた。
「動くな」
もう、何が何だかよく分からない。
だが今目の前に立つコイツは、もう人間ではないこと。
呪術規定に法れば、両面宿儺の受肉体は死刑対象であること。
そして、千尋を傷つけたこと。
それだけは、間違いなかった。
両手を前に、拳を強く握る。
ありったけの呪力を練り上げ、印を結んだ。
「オマエはもう人間じゃない。
呪術規定に基づき、虎杖悠仁、オマエを_________
‟呪い”として
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早瀬モモコ(プロフ) - リリリンゴさん» リリリンゴさんコメントありがとうございます!とても励みになります!更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!! (2021年10月16日 21時) (レス) id: 8442258d5b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月13日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
リリリンゴ - シリーズ最初から読みました!面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年10月13日 2時) (レス) @page6 id: 5191a43a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早瀬モモコ | 作成日時:2021年10月12日 1時