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「やめろ……
馬鹿!!!やめろ!!!!!」
俺の制止の声なんて間に合うはずもない。
虎杖も千尋も、馬鹿だ。
何故俺の言うことを聞かない?
何故何も考えずに突っ走る?
俺には理解できない。
呪物を飲み込んだ虎杖を、呪霊が面白そうに揺すって、そして大口を開けて喰らう。
特級呪物、猛毒だ。
呪力耐性のない虎杖は確実に死ぬ。
________諦めんな馬鹿!!!
千尋の声がする。
この状況で諦めるななんて、どうかしてる。
でも、それでも。
諦めないのが、千尋と、虎杖だった。
俺には無理だ。
2人とも、ただの善人だ。
何故あんな善人が、呪いに殺されなければならない?
何故呪いを嫌う千尋に、呪いは棲みつく?
何故、あんなにも苦しんだ人間がまた苦しむ?
なんて、不平等な現実なのだろう。
呪いにやられといて、この子たちは悪くないなんて、よく言えたものだ。
呪いは、呪いでしかないのに。
ドクン
「!?」
虎杖の身体が、大きく脈打った。
……待て。
虎杖は、呪物を喰った。
もし、もしもの話。
虎杖の身体に両面宿儺の魂が宿れば。
最悪の万が一が……!!!!
そう思った時には、もう既に呪霊の腕が粉々に砕け散っていた。
フラリ……と地に降り立つ虎杖が、向かってくる興奮状態の呪霊を軽く薙ぎ払った。
〈 ケヒッ ヒヒッ 〉
ひと薙ぎで消し去られた呪霊の肉が、夜風に靡き、サラサラと闇に溶けていく。
雲が流されて、月明かりに照らされた虎杖のその目の下のもうひとつの目が、ギョロリと蠢いた。
それは不気味に声を漏らし、次の瞬間には大きく空を仰いで高笑いしていた。
〈 ああやはり! 光は生で感じるに限るな!! 〉
諦めるななんて言ったやつ誰だ、あの馬鹿。
最悪だ。
最悪の万が一が出た。
特級呪物が受肉しやがった
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早瀬モモコ(プロフ) - リリリンゴさん» リリリンゴさんコメントありがとうございます!とても励みになります!更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!! (2021年10月16日 21時) (レス) id: 8442258d5b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月13日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
リリリンゴ - シリーズ最初から読みました!面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年10月13日 2時) (レス) @page6 id: 5191a43a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早瀬モモコ | 作成日時:2021年10月12日 1時