始る春 ページ3
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「しっかし、恵が尽くすタイプだったとはなぁ」
「?」
「ぽいだろ。恵だぞ」
「??」
「あ〜……確かに、わからんでもないか」
「しゃけ」
「私、尽くされてるの……?」
以前はあんなに冷たい目で私の事見下してた伏黒恵が、最近やたらと見てくるし、話しかけてくるし、勝手に分からない問題の解説始めるしで。
遂にはお腹の心配までされた。これがツクスなのか。私には理解できん。
「ところで、なんだその制服」
「……。」
「真希、言わんでも分かるだろ。どこをどう見ても悟の性癖カスタムだろ」
「あー……制服の注文悟に頼んだのか、馬鹿だな」
「……。」
こればっかりは、真希さんに馬鹿呼ばわりされても文句は言えない。
初任務で海水に浸かった制服がダメになってしまったのを、五条先生が任せて〜!と調子良く言うから、任せておこうと思った1週間前の自分を酷く恨んだ。
上着をへそ上まで短くされ、挙句スカートも下着の見えないギリギリ限界を攻めたような丈感。しかもタイト。
救いは両サイドにスリットが入っている事くらい。動きに問題はなさそう。だが。
そこじゃない。
惜しみなく露わになった太腿を少しでも隠そうとスカートの裾を引っ張りながら、半泣きで項垂れた。
こんなの誰にも見られたくはないが、これしかないのだ。仕方がない。
「……。」
「ん?どうした?」
「いえ。乙骨先輩いなくて良かったと思って」
「憂太が泣くぞ〜」
「いいんです、こんなの見られたら絶対怒られます」
「Aは見送り行ったんだろ?私と棘は任務で時間が合わなかったけど」
「はい、でもこれ届く前だったので。
なんかいろいろ言われました。
ちゃんとご飯食べてねとか、朝起きてねとか。」
「オカンかよ」
「ツナ」
「あと、また無茶したらダメだよって言われました。」
「(Aは気付いてないけど)憂太の目、割とガチだったぞ……」
「怖ぇな」
「しゃけぇ……」
「残念だったな真希。見送り行けなくて」
「あ?」
「任務は仕方ないよなあ、落ち込むなよ」
「喧嘩売ってんのかパンダ」
「お前も恵みたいに素直になれよなぁ」
「だからぁ!違えって言ってんだろ表出ろ分からせてやる!!!!!!!」
「始まった……」
「おかか……」
なんでいつもこうなるのか。
パンダ先輩のせいなんだけど。
真希さんが机上に片足を上げて呪具を構えたところで、教室のドアが開いた。
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早瀬モモコ(プロフ) - リリリンゴさん» リリリンゴさんコメントありがとうございます!とても励みになります!更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!! (2021年10月16日 21時) (レス) id: 8442258d5b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月13日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
リリリンゴ - シリーズ最初から読みました!面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年10月13日 2時) (レス) @page6 id: 5191a43a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早瀬モモコ | 作成日時:2021年10月12日 1時