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「なんで来たと言いたいところだが、良くやった」
「なんで偉そうなの」
虎杖が千尋をゆっくりと降ろすと、千尋はありがとう、と一言添えて両足で立った。
「ありがとうじゃねえ。
仮にも呪術師がなに助けられてんだ。あと勝手に飛び出すな馬鹿」
「……馬鹿じゃないし」
「えぇ……俺挟んで喧嘩はやめよーや。それと、井口先輩は?」
「あっち」
千尋が指差す方向に、意識を失った男子生徒が見えた。
頭から流血しているが、命に別状は無さそうだ。
千尋が飛び出したから、間に合ったのかもしれない。
そこは、心の中で褒めておこう。
虎杖は気絶している女子生徒を横抱きに抱え直し、俺の後ろに視線を向けた。
「因みにあっちで呪いバクバク喰ってんのは?」
「俺の式神だ。見えてんだな」
「?」
「呪いってのは普通見えねえんだよ。死に際とかこういう特殊な場では別だがな」
「あー確かに俺今まで幽霊とか見たことないしな」
虎杖は平然とした表情で、呪いを喰らう玉犬を眺める。
……怖くないのか?と問えば、思い詰めたように抱える女子生徒の額を見つめた。
「いやまあ怖かったんだけどさ。知ってた?人ってマジで死ぬんだよ」
「は?」
「だったらせめて自分が知ってる人くらいは、正しく死んでほしいって思うんだ」
虎杖は言うだけ言って、まあ自分でもよくわからん。と言い捨てた。
「これ」
頭一つ分小さい千尋に視線を向ければ、差し出された手に強く握られたものを間違い無いか、と俺に見せる。
「お、これが」
「ああ、特級呪物“両面宿儺”。その一部だ」
「りょうめ……?」
「言っても分かんねえだろ、諸共喰われなかったのは奇跡だな」
「……(くそ。)」
千尋が俺の皮肉に睨みをに効かせながら、呪物を手に俺に近寄る。
「お前ら仲悪いわけ??」
「別に」
「あ、そう……(この子可愛いのに無愛想だな)。
で、これ食ってどうすんだ?美味いのか?」
「馬鹿言うな。より強い呪力を得る為だ。
ったく、無茶しやがって。危ないからさっさと渡せ」
「……うるさ」
「あ?」
「だから俺挟んで喧嘩するのやめろよ」
千尋が俺を見上げて、呪物を持った手を伸ばす。
それを見下ろしながら、受け取ろうとした。
ぐにぃぃ
「!」
千尋の真上。
天井が不自然に歪んだ。
玉犬がすぐさま反応して、虎杖と先輩の元へ駆け出す。
千尋が呪力に反応して上を向くその前に。
千尋の肩を力強く押し退けた。
「逃げろ」
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早瀬モモコ(プロフ) - リリリンゴさん» リリリンゴさんコメントありがとうございます!とても励みになります!更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!! (2021年10月16日 21時) (レス) id: 8442258d5b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月13日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
リリリンゴ - シリーズ最初から読みました!面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年10月13日 2時) (レス) @page6 id: 5191a43a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早瀬モモコ | 作成日時:2021年10月12日 1時