【呪術廻戦】君に棲む。＃１

始る春 ページ2

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「千尋、ここはこうだ」

「……」


「千尋、飯は？食ってくか？」

「……」


「千尋、おい千尋」






「千尋?」









ガタッ









「あ、あの……っ、」


「……なんだよ」






最近、同期の伏黒恵が変だ。









君に棲む。


#1








期待・欲求・畏敬
人々は己の願望が果たされない時、それを恥じ、悔やみ、苦しみ、負の感情を抱く。
この負の感情を、呪術師(私たち)は‟呪い”と呼ぶ。


日本国内で起こる怪死者・行方不明者は年平均10,000人を超え、その殆どが人間から流れ出た‟呪い”が原因だ。
この呪いが具現化した存在が‟呪霊”。
呪霊はコミュニケーションは愚か、目を合わせるだけで容赦なく人間(私たち)を殺しにくる。
だから呪術師(私たち)は呪術を以てして呪霊を祓う。

呪術師(私たち)は祓除(それ)が仕事。

でも、私には祓除(それ)ができない。


私は呪術師(彼ら)の、落ちこぼれだ。









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「高菜、こんぶ？」

「むー……」



それで、逃げてきたんだ？と棘が言うから、なんだか負けたような気がしてハッキリと返事ができなかった。



「いくらぁ」

「う〜……」



２年生の教室でダべっていた棘を見つけ、正面から抱き着いたままうじうじと駄々をこねていると、そろそろいいか、と真希さんが私の頭を呪具の先端で小突いた。



「すっかり元気そうだな、A」

「はい、おかげさまで全快です」



力こぶを作って見せると、今度はパンダ先輩が愉快そうに笑った。



「心配させんなよーA。正道も険しい顔してたぞ」

「は、夜蛾学長も知ってるんですか……！」

「そりゃなあ。あの千尋Aが任務なんて、そうそうないからなあ。
皆知ってるんじゃないかぁ？

結局、完全祓除したのは悟だし、状況も報告されてるみたいだし。
Aもこれで完全に上層部に目ぇつけられただろうな」

「そんなぁ」

「やったな、超有名人じゃーん？」

「……全然嬉しくない。」



面白いものでも見るような目で私を見てまた笑うパンダ先輩を、私も思いっきり睨んでやった。









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