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「大丈夫か?」
「ハイ」
伏黒恵が心配そうに私の顔を覗き込むが、それどころじゃなかった。
虎杖悠仁が指を飲み込んだ瞬間に流れ込んできた、呪力と記憶。
これ、前にも。
虎杖悠仁が1本目を取り込んだ時と同じ。
全身が痺れて、うまく力が入らない。
「嘘つくな」
「……ついてない」
「じゃあ、これは何だ?」
「ふあ、」
伏黒恵がしっとりと汗ばんだ私の額を指の腹でなぞった。
「お前はいつもソレだな。強がって、ひとりで抱え込んで。
そんなに俺は頼りないか」
「そういうつもりじゃ……」
「千尋、やっぱりあの時術式使ったんだろ」
「?」
「あの2級呪霊にじゃなくて、宿儺に」
「え?」
宿儺に?
伏黒恵の言葉をうまく理解できずに固まった私の耳に、五条先生の声が届いた。
「今日中に荷物まとめておいで。
_________で、君たちはそこで何してんの?」
見上げたらまた五条先生に見下ろされてて。
なんか、私見下ろされること多くないか。
……癪に障る。
「あれ、Aじゃん。なんでここにいんの?てか俺どっかいくの?」
「東京。」
「うお、伏黒ぉ!元気そうじゃん!」
「
あれ、伏黒いつの間に??
「いつまでそこに座ってんの?」
「う、わ!」
五条先生に腕を掴まれて引っ張り上げられた。
立ち眩みでふらつく体が落ち着くまで五条先生は私の腕を離さずに支えてて。
それに少しドギマギしていたら、気が付けばさっきの苦しさはなくなっていた。
「オマエはこれから俺たちと同じ呪術師の学校に転入するんだ」
「あー呪術高専だっけ?」
「ちなみに一年生は君で4人目!」
「少なっ!」
五条先生がいつもの飄々とした態度で話しているから、私だけが惑わされててて少しムカついた。
なんて考えてたら、今度は虎杖悠仁が目の前に迫っていた。
「!」
「俺、虎杖悠仁!まだちゃんと挨拶してなかったから!」
「……千尋、A。よろしく」
「おう!よろしくな、A!」
全然憎めない。
にっこりと人がよさそうな顔で笑うこの虎杖悠仁に呪いの王が宿っているなんて、誰が思うだろうか。
でも、それは私のせい。
私のせいで虎杖悠仁はこの呪術界に身を投げてしまったから。
私は、この人を守るために。
私の信じる道が正しいと言えるように。
私は、成長していかなくてはならないんだ。
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早瀬モモコ(プロフ) - リリリンゴさん» リリリンゴさんコメントありがとうございます!とても励みになります!更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!! (2021年10月16日 21時) (レス) id: 8442258d5b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月13日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
リリリンゴ - シリーズ最初から読みました!面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年10月13日 2時) (レス) @page6 id: 5191a43a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早瀬モモコ | 作成日時:2021年10月12日 1時