ー秘匿死刑ー ページ34
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小さくて狭い部屋。
壁を覆う無数の呪符が見下ろすその中心に、私はいた。
頑丈な縄に両腕を縛られて、自由を奪われて。
薄暗くて、零れた声も響かない。
誰にも届かない。
それは、私の世界だった。
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02ー秘匿死刑ー
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(……最悪。)
白と黒の交じる空間。
踝までの水位を持った漆の様な水面が、ドプッと揺れた。
大事な時には全然応えてくれないのに、私が苦しい時に限ってこうやって現れる。
「……禅。」
〈 恨めしそうだな、A 〉
青味がかかった黒髪に、片耳で揺れる大きな耳飾り。
相変わらず怪しげに微笑む金色の瞳の男。
私が名付けた、妖刀『喜雨伽斑』の内に棲まう呪いだ。
「何か用？」
〈 先日の話の続きをしてやろうと思ったが、そんなに俺が嫌なら先程のように奪えば良いだろう？ 〉
「あれは、たまたま上手くできたの」
〈 ほう、たまたまと？ 〉
そう、たまたまだ。
術式反転『罰』＿＿＿＿＿＿＿『統』で使役した呪霊の存在の保障という縛りを一方的に破棄する術式。
縛りの剥奪とは。
『罰』とは、存在の否定。
その精神も肉体も、呪力も全て。
術式発動者である、私に、
〈 全てはお前が奪うのだ。これまでも、これからも 〉
「違う。私は何も……」
何も奪ってなど
〈 ほんとうに? 〉
「私は……」
〈 お前に棲まうその無け無しの呪力は 〉
「私の呪力は、」
〈 お前が奪ったんだ 〉
「ち、違う、」
〈 否定など要らない。お前が善で、お前が非となる 〉
「？」
〈 神の行いは全てが善 〉
「私は…」
〈 お前の中に棲まう呪いが目覚めた。時が近い。
視ただろう、あの情景を 〉
「あの情景？」
〈 呪いが閉ざされた空間。その中のお前を 〉
「あれは、記憶でしょ」
〈 そう、記憶。一体誰の記憶だ？ 〉
「え？」
〈 お前の視た記憶は、誰の物だ？ 〉
「誰の……もの？」
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早瀬モモコ(プロフ) - リリリンゴさん» リリリンゴさんコメントありがとうございます！とても励みになります！更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！！ (2021年10月16日 21時) (
レス) id: 8442258d5b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願い出来ますか？続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月13日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
リリリンゴ - シリーズ最初から読みました！面白いです！更新頑張ってください！応援してます！ (2021年10月13日 2時) (レス) @page6 id: 5191a43a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早瀬モモコ | 作成日時：2021年10月12日 1時
