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器……?
「……器ってのは、呪力や呪霊を収めている入れ物みたいなものだ。
虎杖悠仁の場合は、特級の両面宿儺に耐えうる肉体ってところだな」
私が頭にはてなマークを浮かべたのを、伏黒恵が解説した。
ふうん。
じゃあ、術式を使った私の身体も器なのかな。
……あれ、そういえば禅もそんな事言ってたような。
「さて、ここでクエスチョン。彼をどうするべきかな」
五条先生が言った。
「……仮に器だとしても、呪術規定に法れば虎杖は処刑対象です」
「え、そうなの?」
「特級呪物の受肉体だぞ。今は制御できてるかもしれないが、もし乗っ取られればそれは両面宿儺の復活と同義になる」
「……。」
じゃあ、私は?
「だとしても、俺は虎杖を死なせたくありません」
「私情?」
「私情です。なんとかしてください」
「Aは?」
「……。」
私は。
五条先生に抱えられた虎杖悠仁の顔は、ただの普通の人だった。
普通の人より、体が少し頑丈で、身体能力が異常で、そして。
人を助けるために全力を出せる人だった。
悠仁、オマエは強いから人を助けろ
虎杖悠仁から聞こえたあの
強くて、真っ直ぐな。綺麗な
こんな綺麗なお願い事をする人の子が、悪人であるわけがない。私がこの眼で見た。
それに、今の話を聞く限り特級呪物を抱えた虎杖悠仁にはもう、普通の社会に帰る道はない。
虎杖悠仁からもう何も奪わせないと、決めたから。
「彼に助けられた借りがあるので、死なれたら嫌です」
もし彼が両面宿儺に乗っ取られることがあれば、その時は。
私が彼を、助ける。
……この術式は、そのためにある。
五条先生が、笑った。
「かわいい生徒の頼みだ、任せなさい」
グッと親指を挙げて決めれば、先生っぽいことを言って。
かなり厳しい頼み事な気もするけれど、五条先生なら絶対にどうにかしてくれそうだなと。
私を救ってくれた時みたいに。
そう、思った。
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早瀬モモコ(プロフ) - リリリンゴさん» リリリンゴさんコメントありがとうございます!とても励みになります!更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!! (2021年10月16日 21時) (レス) id: 8442258d5b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月13日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
リリリンゴ - シリーズ最初から読みました!面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年10月13日 2時) (レス) @page6 id: 5191a43a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早瀬モモコ | 作成日時:2021年10月12日 1時