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「増田さん」
「あっ、こんにちは」
「こんにちは」
昼下がり、いつものように屋上に行くと今日は彼女がやって来た。また、それぞれベンチに腰掛ける。
「今日も、いいお天気ですね」
「そうですね」
...そうだ、ちゃんと報告しなきゃいけない。
「スズさん、」
初めて呼ぶ名前に少し緊張した。
「はい？」
返事をするなり、彼女はこっちに身体を向け直す。なんて律儀な子なんだろうって妙に感心した。
「この前お会いしたあと、メンバーと、話をしたんです」
「そうですか...！」
そう言った彼女は嬉しそうだった。
「でもやっぱり、歌うことを諦められなくて、治療しないって、言ったら悲しませちゃいました」
あの時の手越や小山の悔しそうな顔、シゲの納得いかない顔が頭から離れない。
「俺の考えならって、否定はされなかったんですけど... でも、これで良かったのかなって」
「...増田さんは、生きたいですか？」
「え？」
「その... 歌を選ぶのは、きっと歌うことが好きだから。歌を歌いたいから、治療をしないんですよね？」
歌うために生きることを諦めるか、
生きるために歌うことを諦めるか、
そんな二つの疑問にぐるぐる頭を悩ませる毎日。
「もちろん... 生きたいです。死にたくなんてない。生きることも、本当は諦めたいわけじゃないんです。...でも、歌うためには諦めなきゃいけないんです」
そう話す自分の声は、掠れて震えていた。
「生きること諦めてまで、歌いたいのか？って、きっとそれが世間の声だと思うんですけど... でも、そのぐらい歌が好きで... だから...っ、」
「...増田さんの、歌に対する気持ち、すごく素敵です。こんなこと言うのは違うかもしれませんが、そんな風に大切なものがあるの、羨ましいです」
私なんて、もう...
そう呟いた彼女の、意味ありげな表情を見逃さなかった。
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抹茶(プロフ) - 本当に感動しました！少しずつ彼女がどんな人なのかわかっていくのにすっごいドキドキしました。このお話を読んでいると慶ちゃんのニャン太も不幸を持っていってくれたのかな？なんて思ったり。とにかく本当によかったです！ (2021年4月11日 15時) (
レス) id: 0a3381035e (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - たたったさん» たたったさん、はじめまして！ありがとうございます(^^) この作品、割とあっさり終わってしまいましたが、楽しんでいただけて嬉しいです♪ 新作の方でも、よろしくお願いします( ´∀｀) (2019年9月29日 9時) (レス) id: f6c349c01f (このIDを非表示/違反報告)
たたった(プロフ) - こんにちは！前作で大ファンになりました！今作も面白かったので、次回も頑張ってください！楽しみにしています！ (2019年9月28日 15時) (レス) id: 06910a2f85 (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - にーなさん» にーなさん、はじめまして！嬉しいお言葉ありがとうございます（；＿；）このお話はもうすぐで終わりそうなんですが、引き続きよろしくお願いします(*^o^*) (2019年9月27日 21時) (レス) id: f6c349c01f (このIDを非表示/違反報告)
にーな - みーぽんさん、初めまして！前作から毎日楽しみに拝読させていただいております(^^♪このお話も展開が気になっているので楽しみです！頑張ってください！ (2019年9月27日 14時) (レス) id: d6634a8534 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽんみ | 作成日時：2019年9月23日 9時
