君を守りたい【狗巻棘】 (ページ47)

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「早く無厭足の術を使うと思ったが、友達が目の前でやられても結構冷静なんだな」

「喋ってないで集中したら？」

と相手を煽り返して見るも正直きつい

今の私はとても不安定だから領域展開は勿論、無厭足の術式も出来るだけ使うなと悟さんに言われた

でも本来の私の術なんて使い方わかんないっての！！

だからと言って使い慣れてる無厭足の術を使って私が暴走したら元も子もないし…あぁもう私って術ないとこんなに弱くなる！？ってくらいには歯が立たない

「そろそろ限界が来ると思うけどね」

「うるさいなぁ！」

「そういえば君、今お母さんの安否は確認できているのかい？」

「その手には乗らないよ」

「それで君が後悔しなければいいのだけどね」

と夏油さんが言うと同時に壁を突き破って現れたパンダ、そしてそのまま殴り合いに持っていくも単純な体術戦で勝てるわけもなくやられかける

「棘！」

「堕ちろ！」

と言えば夏油さんは地面に大穴を開けて落ちる

「棘！」

「だがな゛！」

「いや、そっちの方が重症でしょ…あの、私…」

早くお母さんの所に行きたい、嫌な予感がするんだ、でも…仲間をこんな地獄みたいな所に置いていけない、階級が一番上の私がここを離れたらだめだ、わかってるけど…

と次の言葉に詰まっていると大丈夫だよ行きなと言わんばかりに笑顔を見せて頭を撫でてくれる棘

「呪術師はそれぞれ適応した場所ってもんがあるからな、今のAはそれが高専じゃないってことだ」

「パンダ…二人とも死なないでね」

「そんなへましねぇぞ」
「じゃげ」

と言い私の背中を押してくれる二人に笑顔を残して高専を後にした

お願いだから、お願いだから、皆無事でいて

なんてそんな願いは叶うはずもなく

世界は残酷で

「あお…い…なん…」

「遅かったね、もう虫の息だよ」

と狂気的に嗤う蒼、の目の前に弱弱しく横たわるお母さん

「な、にしてるの…」

「上に頼まれたんだ、双葉梢の暗殺を。可愛かったよA、僕の術にかかってなにも気づかずに僕の事好きになって」

「術…」

「そう、僕の術は魅了術、親子そろってかかっちゃうの可愛いね」

と言いながらお母さんを私の方へ蹴り飛ばす蒼

「お母さん！」

「Aちゃん…殺しちゃ…駄目よ、お母さんとの、約束…ね」

と弱弱しくも私の手を取りながら息絶えるお母さん

守れなかった、また守れなかった…