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「確かに第一声成程ねは悪かった、ごめんね棘」
「おかか」
と何度謝っても許してくれない棘
取り敢えず硝子に診せて大丈夫だと言われたから家にAを連れて帰るため棘と一緒に伊地知に運転してもらって向かう
「高菜」
「大丈夫だって起きるよ、頬のそれ、夜叉の印が消えれば起きるよ」
夜叉の印、推測でしかないが彼女の兄である夜叉基優がきっとAに施した呪い、彼女が万が一呪いに飲み込まれそうになったら眠りにつかせるようにと呪ったのだろう
呪霊に芽生えた兄妹愛、優は特殊だった、呪霊でありながら人を愛す呪霊、慈悲や愛に満ちた呪霊
Aを妹の様に愛していたのは、Aが呪霊と人間のハーフ故かそれとも他に理由があるのかは分からない
Aは元々楓さん達の子ではない、優が何処からか連れてきた呪われた子、人間と言えば人間であるし、呪霊と言えば呪霊、そんな不安定な存在だ
母親が呪霊と駆け落ちをして生まれた子、呪霊である父親が見つかり母親も呪霊だと勘違いされ殺された時殺されそうになっているAを連れて帰ったらしい
「はい、着いた。Aを連れて行くから棘は梢さんに」
「おかか」
と僕がAを抱き上げようとすると手をはらわれる
「ごめんごめん、じゃよろしくね」
と言えば大切そうにAをおんぶする棘
その間に呼び鈴を鳴らす、この家に来るのは久しぶりだ
「どうぞ、来ると思ってたわ」
とぐったりとするAを見ても取り乱しもせずまるでこうなることがわかってたかのように優しい笑みで迎えてくれる梢さん
中に入ればすでに作られてたお茶、そして割れている香炉
「優くんの印が発動したら割れてしまうの、それ。棘くんありがとう、ここに寝かせてあげて」
「しゃけ…」
「わかってたわ、最近のAちゃんの様子も可笑しくて、そろそろかなって」
とAを見ながら悲しそうに笑った梢さん
「悟くん、いえ、五条さん、私は罰なら何でも受けるわ、でもAちゃんだけは、どうかAちゃんは守ってあげてください」
と言い頭を下げる梢さん
「確かに血の繋がった家族ではないかもしれない、でも私や楓さんからしたら優もAちゃんも可愛くて愛おしい我が子、もしまた奪おうとするものなら私は世界を敵に回してでもあの子を守るわ」
そう言った梢さんの顔は見えなかったが纏っている呪力がその言葉の真剣さを物語っていた
「継ぎ接ぎだらけの家族でもこの愛は本物よ」
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作者名:天音 | 作成日時:2021年1月9日 19時