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「ほらほら、Aちゃん着替えて来な〜」

「わ、わかったから、狗巻に変なこと言わないでよ!」

「狗巻ってそんな他人行儀な、昔みたいに棘くんて呼べばいいのに」

「うるさい!」

と言い部屋に戻ってしまうA

小さい頃と全てが変わっている家、あれから引っ越してるんだから当たり前か

キョロキョロと家を見回していると仏壇とそこに飾られてる昔よく遊んでくれた二人の写真

「懐かしいでしょ」

「…しゃけ」

「挨拶していく?」

「しゃけ」

と仏壇の前に座り静かに線香をあげ手を合わせて目を瞑る

二人は事故なんかで亡くなってない、その事実は皆知っている、A以外は

Aが強さに固執するのはきっとそのせいだろう

強くないと守れない、それはきっと事実だが焦って強くなるもんじゃないと思う、最近はあの焦りが少し心配だ

二人ともAを見守って守ってあげててください、俺もきっと強くなってAを守るからそれまでよろしくお願いします

と挨拶をして目を開ける

「何をそんな真剣に頼んでるの」

「こ、こんぶ!?」

「驚きすぎでしょ、ほらどいてどいて、私の番」

と言われ退くとAも手を合わせて目を瞑る

「明日も皆幸せな日を送れますように」

なんて言い終わるとチラッと俺の方を見てまた目を瞑る

「そしてどうかもう棘が関わってきませんように!」

「お、おかか!」

と俺も手を合わせ目を瞑る

それだけはどうかやめてください!

なんて願っていると隣から笑い声が聞こえる

「本当に面白い、あ〜笑った」

と言いながら立ち上がるA、最近笑ってるAを見ることが多くて嬉しい

悟が関係性をいい方向に変えた方がいいと言ってたけど、順調にいい方向に向かってる気がする

昔みたいに笑って一緒に居たい、あわよくば高専に来てほしいけど、楽しそうに友達と遊んでるの見ちゃったからにはそれはそれでいいような気もする

「棘くんご飯も食べていく?」

「しゃけ!」

「お母さん!棘も断ってよ!」

寮に住んでいるから忘れかけてた暖かい家系、親との楽しい会話、家族の優しさ

どうか、このままAの幸せが続きますように

そう最後に祈ってから仏壇を後にした

「お母さんご飯作るから棘くんと遊んで来たら?」

「いや、私たちもう小学生じゃないんだから」

「しゃけしゃけ」

どうか、続きますように

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作者名:天音 | 作成日時:2021年1月9日 19時

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