初恋は想い出に ページ33
棘は元々結構お喋りが好きな方だった
意図せず呪ってしまうからいつも慎重に言葉を選んだりゆっくり言ったり変なところで単語を区切ったりと色々と試した
「棘くん、遊ぼ?」
「いい、よ」
そんな棘を私はいつも後ろから付いて行ってたっけ
小さい頃から強力な呪術を使えた棘は私からしたらどんな物語の王子さまやヒーローよりもかっこよくて
「ねぇねぇ棘くん」
「なぁに?」
「あのね、大好きだよっ」
「う、ん…ありがとう!」
私の初恋の相手だった
今思えば棘は一度も私の好意に答えてくれたことないのに毎日のように大好きと言い続けてた私は凄いと思う
ぐいぐい押しすぎてる…良かった変われて…
あの頃は何故か棘も私の事が好きなんだと何処からか湧いた自信のせいで思ってたし、二言目には私は棘と結婚するんだなんて言ってた
恋は盲目ってね
「Aちゃん、一緒にご飯…」
「食べる食べる!」
そう言えばもう私達が小学校上がった時から棘はお喋り控えてて文章をわざと終わらせず動詞は避けてたっけな
この時からもう意図を汲み取るのは得意だったかもしれない
「Aちゃんは何が好き?」
「棘くん!」
「え!?あ、その…ご飯の話…」
「ご飯ならオムライス!」
昔はAちゃん呼びだったけど、そう言えば今はどうなんだろう
Aちゃんのままかな…それとも私みたいに苗字呼びに変わってるのかな、一人称もどうなってるんだろ、ちょっと気になるな
「Aちゃん…僕、もう、おしゃべ…り…」
「…うん、わかってるよ、大丈夫!私は棘くんのことなんでもわかるよ!」
「本当?」
「うん、棘くんがお喋りできなくても私は全部わかってあげる!」
「僕の…僕が喋らなくても理解してくれる?」
「うん!約束!」
「約束」
「「どちらかが喋れなくなっても理解しようね」」
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作者名:天音 | 作成日時:2021年1月9日 19時