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「普通の人の恋愛に憧れてるだけじゃない?」

なんて、悟さんに言われた言葉がこの一週間ずっとぐるぐると回ってる

私が棘と…いや、ないない、それに好きなのは蒼だし

ちゃんとドキドキするし、好きだなって思えるし、うん、これはちゃんとした恋心

と思いながらも携帯で“好きかどうか 確かめる方法”と検索してしまう

「相手のことを考えてしまう…」

いやいや、今は棘のこと考えてるわけではなく、というかこれはそういう意味で棘の事を考えてるわけじゃない、と誰にも聞かれてないのに心の中で言い訳をする

いや、言い訳したらまるで好きみたいじゃん!と自分にツッコミを入れ机に顔を突っ伏す

「咲ちゃん達遅い…」

放課後一緒に帰ろうねって言ってた癖に

「A〜!おまたせ!それと連れてきちゃった!」

「外寒そうだったしな」

と言う琴音達の声と共に聞こえる何故かざわついてる生徒たち、まさか悟さんが居てそれを連れてきたとか、と思い勢いよく顔をあげる

「じゃ〜ん!狗巻くん!」

「いやいや、おかしい」

なんでここに、しかも教室内、部外者は連れてくるな

「ってことでうち等は三人で帰るから狗巻くんとごゆっくりどうぞ〜」

「ちょっと!まっ!ああ、もう!」

とすぐに三人を追いかけようとするも鞄を引っ掛けてしまい中身をぶちまける

本当についてない、ていうか何で棘、よりによってこのタイミングで

「…おかか」

「ごめんって思うなら来るなし」

と一緒に拾ってくれる棘に言う

「早めに素直になっとく方がいいよ」

十分素直だわ!てかさっきから出てくる脳内悟さんなに!?めちゃくちゃ迷惑なんだけど!

「で、なんで来たの、理由なかったら一回殴る」

「お、おかか!高菜」

「お、おにぎり語で喋るな!」

と言えばはっとした顔で口を閉じる棘、全く学習しないんだから

鞄に全て入れ終えるとすっと携帯の画面を見せられる

「新オープンカフェ?ああ、昨日凜華達と行った」

と言えばわかりやすく落ち込む棘、もしかしてこれに一緒に行こうって誘おうとして高校まで来たとか?馬鹿すぎる…そもそも私が行くって言う訳ないのに、答えがわかりきってるのに来る馬鹿いる?

「…」

「…」

「…はぁ、下校くらいなら一緒にしてもいいけど」

「しゃけ!」

「だからおにぎり!ここまだ学校!」

私は少々棘に甘すぎるかもしれない

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作者名:天音 | 作成日時:2021年1月9日 19時

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