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Aside
そして取り敢えず2人共スパゲッティと飲み物を頼んで、話をする。
森山「それにしてもビックリしたよ。Aがここでバイトしてるなんて思わなかったから。昨日のこともだけど偶然だなぁ」
「あはは、そうだね。私もビックリしちゃった!」
そうやって私が笑って、楓くんも笑って。
そうしてる内に沈黙が訪れる。
ど、どうしよ……何か話さなきゃかな……
どうすればいいか分からなくて、ただ黙々とスパゲッティを頬張っていたら、いつの間にか無くなっていた。
森山「あの、じゃあ俺もう行くな。Aも忙しいだろうし」
「あ、じゃ、じゃあお会計するね」
楓くんの言葉を聞いて、慌てて立ち上がってレジに急いだ。
「えっと、合計で860円になります!」
森山「はい、」
「はい、1000円お預かりして…140円のお返しで…す、」
お金を渡す時に手と手が触れ合って、思わずフリーズしてしまったけど、慌てて平静を取り戻した。
手が触れただけでそんなになるなんて、まるであの頃みたいじゃんか……
森山「……なぁ、A。ボールペンかなんかある?」
「へっ?あるけど……」
「貸して、」と言われたから渡したら、レシートの裏に何かを書き出した。
森山「これ、俺のIDなんだけど…また、昔みたいに話せたらと、思って……」
「……えっ、」
森山「……迷惑?」
「え、あ、ううん!迷惑じゃないよ。分かった、ありがとう」
そして楓くんを見送って、私はIDの書かれたレシートをギュッと胸に押し当てた。
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