寂しそうに ページ38
Aside
雅樹「こっから家近いの?」
「車で10分くらい、」
雅樹「10分か……じゃあ俺と同じくらいだ」
そう言ってタクシーを呼んで中に乗り込むと、チョイチョイと手招きされる。
「え、私も?」
雅樹「そりゃもちろん。俺フラフラな女の子置いてくほど冷たくないから」
「でも……」
雅樹「言ったでしょ、俺と同じくらいだって。ついでだから、ほい」
優しく腕を引っ張られて、私は座席に座らされた。
「あ、ありがとう……」
雅樹「強引でごめんね、でもやっぱり心配だったから」
「ううん、吉川くんは悪くない。セーブしなかった私が悪いから」
タクシーが発車して、私がそう言って笑ったら、吉川くんは何だか寂しそうにフッと笑った。
雅樹「……この前、楓にも家まで送ってもらった?」
「へ?あ、うん。そうだよ」
雅樹「……そっか、」
そう呟く吉川くんに、私はまた少し疑問を覚えた。
「あ、着いた」
雅樹「ここ?」
「うん、」
どうやら吉川くんもこの近くで、歩いて帰ることにするらしい。
私はお金を払おうと財布を出すけど、それを吉川くんに制された。
雅樹「さっきは割り勘だったし、ちょっとはカッコつけさせてよ」
「ね?」そう言って吉川くんはニッと笑った。
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