呼び方 ページ37
Aside
雅樹「Aさん、」
「はい?」
雅樹「名前、何ていうの?」
「へ?」
そんなことを聞かれるとは思わなくて、私は思わず目を丸くさせる。
……あ、そっか、そういえば私は名乗ってなかったんだっけ。
「Aっていいます、」
雅樹「あ……そっか。Aちゃんって呼んでもいい?」
「あ、はい。どうぞ」
特に断る理由も無いので私がそう言うと、「ありがとう、」と優しく笑った吉川くん。
雅樹「それと、敬語もやめよ?同い年なんだし」
「あ、そうで…そうだね。わかった」
雅樹「あと……いや、やっぱいいや。よし、飲も飲も〜。はい、Aちゃんも」
「うんっ」
さっきとは違って楽しそうな笑顔を浮かべる吉川くんを見て、何だか私も嬉しい気持ち。
取り敢えず、楓くんの友達として認めてもらえたみたいで、よかった。
「吉川くん、お酒強いんだね〜」
雅樹「んー、そうなのかな?」
「だってあんなに飲んだのに全然フラフラしてないじゃん〜」
お店を出て、肌寒い夜の道を2人で歩く。
ピンピンしている吉川くんとは対照的に、足元が少しフラつく私。
吉川くんのペースで飲んだからちょっと酔っちゃったかな……
雅樹「大丈夫?結構フラフラしてるけど、」
「うん、だいじょーぶ」
雅樹「かなり心配なんだけど……」
そう言って眉を下げる吉川くんに、何だか申し訳なくなった。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ