４⇨ ページ5
彼女を知りたい。もっと話したい。
このことは最俺メンバーにも相談していた。
あいつらはイジりつつも、生まれてこのかた流れで付き合ったことはあっても自分から人を好きになったことがない俺のことを応援してくれてた。
あいつらのためにも、今日こそ、今日こそって思うのに。
動画では破天荒なキャラだけど、こういうのはほんとに苦手。わかんねーもん、女の子に自分から近付く方法なんて。
「お前なあ、何回俺たちがイメトレ付き合ったよ！」
「だってよ〜いざ目の前にするとくねくねオカマとか性魔獣とかゲスサイコパスと違ってめっっちゃくちゃ可愛いからセリフ飛んじまうんだよ〜！！」
「だからって……ん？俺ら今ディスられた？」
そんな調子で、あまりに俺がくすぶってるもんだからあいつらが痺れ切らして。
「今日聞けなかったらもうカフェ行くの禁止！」なんて言われたら、そりゃもう決死の思いで聞いちゃいましたよ。もはやなんて言ったかもよく覚えてませんよ。
彼女は、迷ってた。
断りたいならもちろん断ってくれていい。俺のメンタルは死ぬけど。無理強いして嫌われるよりは100倍マシ。
そこでちょっと気にかかる。
迷ってる……のは迷ってるんだけど、なんでそんな悲しそうな顔すんだろ。もしかしてそんなに嫌だった？うわ、死ねる。もういっそ殺してくれ。
「………はい」
「…………え？」
「え？」
「ほ、ほんとにいいんですか？」
「は、はい……」
自分で聞いといてって感じだけどほんとに信じられなくて、変な反復をする。にやけそうになるのを堪えながら、彼女の連絡先を登録した。仕事中で携帯持ってないからって、わざわざラインのIDをメモって教えてくれた。
「ごめん、ほんとにありがと！」
「………いいえ、とんでもないです」
少し考えるようにした後、彼女は絞り出すような笑顔を返す。
可愛いのはもちろんなんだけど……なんか、いつもと全然違った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミズ | 作成日時：2018年11月21日 0時
