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「本日はお越しくださりありがとうございました。沖野様」
「今日もナポリタン美味しかったよ。また食べにくるね」
「ありがとうございます。またお暇な時にでもいらしてくださいね」
常連の沖野様をお見送りし、テーブルの片付けをする。カウンターに備え付けの指紋認証システム付きパットで次の予約確認をしていると元気な声が隣から聞こえた
「センパ〜イ!8番テーブルの後藤様帰られましたぁ。確認お願いしま〜す」
「あ、はい。結月ちゃんお疲れさ…ま″!?な、何でそんなにお皿が…」
この子は早川結月ちゃん。高校に通いながらここでアルバイトをしている元気な女の子。人懐っこい性格で誰にでもフレンドリーな親しみやすい子である。結月ちゃんは大量の食器を洗い場に置くと「ふ、ふ〜ん!」と腰に手を当て自慢気な顔をしたかと思えばカウンターにいる私の所までそそくさと来て小声で話し出す
「センパイにだけお教えしますと、後藤様と露木様と五十嵐様はオススメすれば断れない症候群だと断定いたしました!やっぱり時代は女性が引っ張る時代なのでしょうね!「これくらい食べないと貴方の身が心配なの」って上目遣いで言えば楽勝です!はい!」
悪い子ではない…悪い子ではないのだが、彼女を指名するお客様は回を増す毎に丸みを帯びている気は…しなくもない…。後藤様は確か小食と記憶していたし、大部変わったと思う。でも結月ちゃんの接客するブースはいつも笑い声と笑顔が絶えないのでお客様からの人気もあったりする
「センパイ次のご予約はどなたですか?」
結月ちゃんの問いに答え様とした時、耳に心地いいベルの音が鳴る
「お、いたいた。時間より少し早いんだが、今からでも大丈夫か?」
結月ちゃんと2人、そちらを見ていると彼は少し申し訳なさそうに呟く。それに私は笑顔で答えた
「はい。大丈夫ですよ。ご予約ご指名ありがとうございます山田様」
彼はその言葉にほっとした様な顔をし、「あぁ、ありがとう」と優しい顔で答えてくれた。ご案内してくる事を結月ちゃんに伝えるとなんとも表現しにくい顔で私にメニュー冊子を渡し「ごゆっくり〜セ〜ンパイ!」と言い中へと消えていった
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作者名:陽翔 穂香 | 作成日時:2018年9月15日 20時