６ｰ６,Zero O’Clock【ジン視点】 ページ49
○○を、天体観測に誘った。
僕が単純に行きたかったってのもあるし、
…………またしばらく会えなくなる彼女と、思い出を作りたかったからってのもある。
望遠鏡まで買って張り切る僕を、冷めた目で見る○○。
なんだよ、楽しむなら全力でやらないと意味が無いだろう？
｢楽しみだな｣
そう言って笑いかけると、少し○○が頬を赤く染めた気がするのは……たぶん気のせいだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
時刻は午後8時40分。
8時半に家を出ようと言ったのに、本当にあいつときたら。
でも、○○を待つこの時間も、どうしようもなく愛おしく感じてしまったりする。
あぁ、僕はとんだ“親バカ”だな。
『お待たせしました！』
そう言って、急いでる風を装うように小走りで来た○○は、少し涼し気な格好をしていた。
“もっと暖かくしなさい”と母親のような小言を言いそうになったけれど、せっかくのお出かけの前に彼女の気分を損ねたくなくてやめる。
けど、すぐにそれを後悔した。
『っー…』
ジン｢どうした？寒いのか？｣
そう尋ねると、コクコクと頷いて身震いをする○○。
小さな体を震わせる姿が見ていられなくて、僕は迷わず彼女に自分の上着を被せた。
少し驚いたようにした○○は、“オッパが寒いよ”と上着を返そうとしたが、何とか言いくるめると“ありがとう”と言って寒さで頬を赤く染める。
その姿がとても可愛らしくて、僕は彼女にバレないように顔をほころばせた。
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展望台に到着するや否や、上機嫌で僕の袖をクイクイと引っ張って“あれ、見てください！”と空を指さす○○。
そこには人工衛星がゆっくりと流れていて、周りを無数の星たちが囲んでいた。
『綺麗ですね……』
そう呟いた○○に、“今どんな顔をしているのだろう”と気になって目を向けたが最後、僕は彼女から目を離せない。
少しだけ微笑みながら、幸せそうに空を見上げる○○。
それはあまりにも美しくて、儚くて、指先で触れただけで、今にも壊れてしまいそうな程だった。
｢オッパ…？｣
彼女の僕を呼ぶ声に、一気に現実に引き戻される。
何してんだよ俺……と、心の中でツッコミを入れ、慌てて彗星を探した。
無意識にとった彼女の手を何故だか離したくなくて、“寒いからこのまま”なんて理由をつけて帰路に着いた、夏の日の午前0時。
【作者より読者様への感謝と、移行のお知らせ】→←６ｰ５,見つけた星、見つけた気持ち
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なーさ(プロフ) - 月花さん» わぁ！嬉しいコメントありがとうございます！そう言ってくださると励みになります……毎日更新を心がけているので、頑張りますね！今後とも｢君の願いを叶えてあげる｣をよろしくお願い致します！ (2021年6月18日 23時) (
レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - このお話好きです！更新頑張って下さい！ (2021年6月18日 22時) (レス) id: 648d58e66d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なーさ | 作成日時：2021年6月16日 0時
