５ｰ８,あなたの子ども ページ41
｢………私の事、恨んでないの？あなたを置いて逃げたのよ？｣
『………きっと、事情があったんですよね。
私もあるんです、大切な人を守れずに逃げ出してしまったことが………
だから、恨んでなんかいないです。』
｢っ……｣
『それより私は、ずっとあなたに会いたかった……』
そう言葉にすると、今まで我慢していたものが一気に涙となって流れ出した。
『私をこんなに素敵な環境に産んでくれた、あなたに会いたかった……』
｢○○………｣
『お墓参り、来てましたよね？』
｢……ええ。｣
『私、あの時にあなたに気がついて………』
｢私も気づいてた。｣
『……え？』
思いもよらない返答に、私はただただ固まる。
え……？お母さんも気づいてたの……？
｢………私はあなたの前に現れる資格なんて無いと思ってた。
………けど、どうしてもあなたが元気にしているか一目見たくて、よくあのお墓に行っていたの。…………もしかしたら会えるかもって。｣
『……っじゃあ、どうして声をかけてくれなかったの…？』
親にわがままを言う子供のように、そう聞いた私。
そんな私にお母さんは少しだけ嬉しそうに笑って、また顔を曇らせた。
｢話しかける資格がない………なんていうのは綺麗事なのかもしれないわね。
………本当は、あなたが私を覚えていないと実感するのが怖かったんだと思うわ。｣
『……』
｢………けど、あなたは気づいてくれていたのね｣
『……あたりまえだよ。すぐにお母さんだってわかった。』
｢○○……｣
『だいぶ遅くなっちゃったね、幸せな再会！』
そう言って笑うと、お母さんもやっと幸せそうに笑ってくれた。
｢ほんと、素直で優しい子に育ったのね………｣
『……そう？』
｢ええ。きっと、たくさん愛情を貰ったのね。｣
うん、たくさん貰ったよ。
覚えているだけでもたくさん貰った。
きっと、忘れてしまっているだけで、もっと多くの愛情を貰ってきた。
『今も貰ってるよ』
｢え？｣
『大好きなお母さんから！』
へへっと無邪気に笑うと、“素直すぎて私の子じゃないみたい”とお母さんは笑う。
『私はお母さんの子だよ』
目を見てしっかりそう伝えると、彼女は心の底から愛おしそうに、私を抱きしめてくれた。
｢また、いつでもいらっしゃい｣
そう言った彼女に手を振って帰路に着くと、
心の中のモヤモヤはいつの間にか晴れていた。
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なーさ(プロフ) - 月花さん» わぁ！嬉しいコメントありがとうございます！そう言ってくださると励みになります……毎日更新を心がけているので、頑張りますね！今後とも｢君の願いを叶えてあげる｣をよろしくお願い致します！ (2021年6月18日 23時) (
レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - このお話好きです！更新頑張って下さい！ (2021年6月18日 22時) (レス) id: 648d58e66d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なーさ | 作成日時：2021年6月16日 0時
