５ｰ７,たくさんの人に支えられて ページ40
目を開けると、私は古いアパートの前に立っていた。
手のひらには、2つに割れた紫の宝石。
それを見て願いが叶ったことを悟り、そっとポケットの中にしまう。
アパートのポスト達に目をやると、そこには見覚えのある苗字があった…
私と同じ苗字が。
部屋番号を確認し、あの人が住む部屋のドアの前まで来たはいいものの、中々覚悟が持てなくて立ち尽くす。
｢…………どちら様ですか？｣
突然後ろから声をかけられ振り向くと、そこには買い物袋を手に持った女性が立っていた。
ショートカットで、とても綺麗な、懐かしい香りのする人。
この人だ。私がずっと求めていた……
『………お母さん』
気づくとそう呼んでいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
全てを悟ったような顔をした女性は、申し訳なさそうに眉をひそめ、私を中に入れてくれた。
｢……ここまで、遠かったでしょう｣
『あ……はい、少しだけ』
魔法の力でここまで来た私は距離感などわからなかったが、とりあえず話を合わせておく。
｢……ありがとう、会いに来てくれて。｣
『そんな……私が会いたかったので……』
｢っ……｣
そう素直に伝えると、彼女は目を潤ませて俯いた。
｢ごめんっ…………ごめんね………私は最低な母親………母親なんて言うのもおこがましいわね……｣
『っ……』
｢きっとたくさん苦労をかけたわよね。
………全部私が悪いの………本当にごめんね。
あなたを幸せにしてあげられなかった………｣
そう言って泣き崩れる……お母さん。
彼女の言葉に嘘など感じなくて、本当に、心から私に申し訳なく思っていることが伝わった。
………でも、何かその言葉に違和感を感じる。
『………違いますよ』
｢……え？｣
『私、幸せでしたよ、ずっと。』
｢……｣
『だから、謝らないでください』
これは、彼女を慰めるための言葉とか、そんなものではなくて……
心からそう思うから。
おばあちゃんがそばに居てくれて、その後はジンオッパが寄り添ってくれて。
色々あったけど、彩や悠太だってそばに居てくれる。
私はたくさんの人に支えられて、今を生きてる。
『それに、あなたはきっと、ずっと私の幸せを願ってくれていたでしょう？』
｢っ……｣
『ありがとうございます。
……私はすごく幸せ者です。』
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なーさ(プロフ) - 月花さん» わぁ！嬉しいコメントありがとうございます！そう言ってくださると励みになります……毎日更新を心がけているので、頑張りますね！今後とも｢君の願いを叶えてあげる｣をよろしくお願い致します！ (2021年6月18日 23時) (
レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - このお話好きです！更新頑張って下さい！ (2021年6月18日 22時) (レス) id: 648d58e66d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なーさ | 作成日時：2021年6月16日 0時
