第４章ｰ１,君のおばあちゃんの話【ジン視点】 ページ30
｢私、サクラが一番好きなの。｣
｢優しくて淡いピンク色をしてる、まるであなたみたいでしょう｣
そう言って花びらの舞う中笑顔でこちらを振り向いたいつかの彼女は、まるで映画のワンシーンのように美しかった。
ジン｢麗子さん、そろそろ帰ろう。……また倒れるといけない。｣
麗子｢大丈夫よー、ほんとジンは心配性ね｣
ジン｢でも……｣
麗子｢いいの。まだジンとこうして歩いていたいから。｣
“今度はあっちに行こう”と楽しげに僕の手を引く彼女。
そんな彼女を見て、僕も自然と笑顔になっていた。
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彼女は僕の91人目の主人。
不治の病を患い、若くして結婚し娘が出来るも、夫は不慮の事故に遭い他界。
幸運に恵まれずとも笑顔を絶やさず前向きに生きる彼女を見たのが、願いの主に選んだ理由だった。
そんな彼女に僕が願いを叶えてあげること、それが誰かの不幸の上にあることを伝えると、“願いなんて叶わなくてもいいわ、誰かの不幸の上の幸せなんて嬉しくないもの”と笑った。
でも僕はどうしても彼女に幸せになって欲しくて、半ば強引に7つの宝石を手渡す。
少し困ったような顔をした彼女は“ありがとう”と言うと、“優しくてお節介な妖精さんね”と微笑んだ。
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それから彼女は、6つの宝石を全て“誰かのため”に使った。
そんな所も彼女らしい。
残ったのは、ピンクの宝石ただ一つだけ。
でも君は、それをなかなか使わなかった。
まるで、願いの代償を悟っているかのように。
僕も正直、永遠に使わなくていいと思っていた。
僕の心はもう、どこまでも素敵な彼女から離れられそうになかったから……
そんなある日、まだ40にもならない彼女に可愛らしい孫が出来た。
○○、そう名付けられた。
彼女は○○のおばあちゃんになったと同時に、母親代わりとなった。
○○の母親が突然姿を消したからだ。
彼女は○○が寂しくないよう、精一杯愛情を注いだ。
僕はなんとなく、○○に見つからないようひっそりと彼女に会っていた。
麗子｢○○。
……幸せはね、誰かの不幸の上に成り立っているのよ。｣
ある日、まだ幼い○○にそんなことを伝える彼女を目にする。
『……だれかのふこぉ？』
麗子｢そう、不幸って一言に言っても、大きいものから小さいものまであるけれど。
○○、でもね………｣
４ｰ２,笑顔の魔法【ジン視点】→←３ｰ９,月と太陽【ナムジュン視点】
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なーさ(プロフ) - 月花さん» わぁ！嬉しいコメントありがとうございます！そう言ってくださると励みになります……毎日更新を心がけているので、頑張りますね！今後とも｢君の願いを叶えてあげる｣をよろしくお願い致します！ (2021年6月18日 23時) (
レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - このお話好きです！更新頑張って下さい！ (2021年6月18日 22時) (レス) id: 648d58e66d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なーさ | 作成日時：2021年6月16日 0時
