３ｰ８,今度は私が ページ28
気がつくと、私は一人で港に立っていた。
私は………さっきまで何をしていたんだっけ？
ここまでどうやって来たのかもわからない。
暗闇の中に、数個のライトと灯台が光っている。
ここは私が初めてジンオッパに出会った場所。
波の音はあの時よりも穏やかに聞こえた。
ふと灯台の下に目をやると、何やら人影が見える。
『………彩？』
咄嗟にそう問いかけると、その人影は驚いたようにこちらを振り向いた。
彩｢……○○……どうしてここに？｣
ずっと探していた声が耳に入ってきたことで、私はやっと自分の目的を思い出す。
気づくと私は彼女に駆け寄り、強く強く抱きしめていた。
『……ばかっ！彩のばか！！』
彩｢…ごめん｣
『……違うの、私がごめん』
彩｢え……｣
『良かった……ほんっとに無事で良かった……』
彩｢○○……｣
会いたかったよ、心配したんだよ、ごめんね、無事で居てくれてありがとう……
伝えたいことが多すぎて上手くまとまらないが、それは抱きしめた両腕からきちんと彼女に伝わっているような気がした。
彩｢ずっと探してくれてたの…？｣
『もちろんだよ』
彩｢っ…｣
そう答えると、彩は急にその場に泣き崩れる。
彩｢ごめん…ごめんねっ……私…○○のこと裏切って傷つけた……最低だ……｣
『……謝らないで。最低なのは私の方だよ…
今日、助けてあげられなくてごめん』
彩｢そんなの当たり前だよ…！私が最初に裏切ったんだから……○○は悪くない。今だって、私を探してくれたでしょ｣
『彩……』
彩｢こんな最低な私の事……ほっといていいんだよ。助ける価値なんてないの。
………もう優しくしないで、自分がもっと惨めになる。｣
そう言って“ごめん”と謝り続ける彩。
そうじゃない………そうじゃないよ………
『彩……私、彩に謝って欲しいわけじゃない』
彩｢…｣
『もっと頼って欲しいの』
彩｢え…｣
『……彩は一人じゃないよ』
いつか“誰か”が私にかけてくれた言葉を、今度は私が………
『悲しみは……半分こしよう。
その方がずっといい。』
そう言って彩をもう一度抱きしめると彼女は気が抜けたように体を委ね、小さく“ありがとう”と呟いた。
その日からは私は、ほんの少しだけ強くなれた気がする。
“誰か”が私の背中を押してくれた事を、忘れてしまったまま。
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なーさ(プロフ) - 月花さん» わぁ！嬉しいコメントありがとうございます！そう言ってくださると励みになります……毎日更新を心がけているので、頑張りますね！今後とも｢君の願いを叶えてあげる｣をよろしくお願い致します！ (2021年6月18日 23時) (
レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - このお話好きです！更新頑張って下さい！ (2021年6月18日 22時) (レス) id: 648d58e66d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なーさ | 作成日時：2021年6月16日 0時
