12ー3,桜が降る春の日に【ジン視点】 ページ46
可愛くて、思いやりに溢れた僕の最愛の人は
僕と一緒に生きる決断をしたあの日から、半年間生きた。
その期間は僕らにとって本当に幸せで、毎日が大切な思い出になった。
「やっぱり僕の魔法でっ……」
いつまでも格好悪い僕は、覚悟を決めた彼女の死の間際、またそんな提案をする。
いつかのあの人の時のように。
『ピンクの宝石の分の願いは……最初に海で私を助けてくれた時に使ったんじゃないんですか?』
「そ、それは……嘘ついてたんだ。
○○のそばに居たくて……ごめん。」
『……ふふ、ピンクだけ二つに割れてないから、そんなことだと思ってましたよ。』
「え……」
『でも……いいんです』
息もしづらくなってきて、相当苦しいはずなのに、微笑みながら話し続ける○○。
『ピンクの宝石は使いません』
「でも……僕はやっぱり○○に生きて欲しい……」
『……私、もう一つ気づいてたことがあるんです』
「え?」
『お願い事の代償』
「っ……」
『きっと……私、たくさん大切なこと忘れちゃってる……』
彼女は悲しそうに、そう呟いた。
『だからね…?
……オッパの事だけは忘れたくないんです。
あなたを忘れるくらいなら、あなたを想って死んでいきたい。』
あの人が亡くなる直前、僕に言ってくれた言葉。
君は本当に、どこまでもあの人にそっくりだ。
けど……
「○○」
『…なんですか?』
「僕は○○が好き。」
『…ふふ、私もです。』
そう言うと、○○は徐々に息が荒くなっていった。
苦しそうにする○○の手をそっと握って、僕の胸に引き寄せる。
○○はそれを見て幸せそうに微笑むと、ゆっくり目を閉じた。
まだ微かに聞こえる呼吸の音。
旅立つ彼女に、僕はこう伝えた。
「生まれ変わっても、愛してるよ」
次に出会う時は、もっと普通の恋が出来ますように。
桜の降る春の日に
君は世界で一番綺麗な星になった。
52人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます!感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます!今後の作品も応援していただけると嬉しいです! (2023年4月1日 8時) (レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します!なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです! (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね! (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…!いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています!! (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします! (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なーさ | 作成日時:2021年6月15日 23時