検索窓
今日:4 hit、昨日:5 hit、合計:21,566 hit

第12章ー1,不意打ち ページ44

目を覚ますと、私は部屋のソファに1人で座っていた。


手のひらには2つに割れた黒い宝石。


肩には微かに誰かの温もりが残っている気がして、でも何もそれらしい事は思い出せなくて…


前にもこんなことがあった。


願いを叶えた直後、何か大切なことを忘れてしまったような感覚。





「○○…?」





突然後ろからそう名前を呼ばれて、すぐにそれが大好きな人の声だと気づいた。





『ジンオッパ…』


ジン「あれ…僕はどうしてここに…」


『オッパに会いたいって、願ったんです』


ジン「え…」





驚いた顔をした彼は、すぐに表情を暗くし、私に背を向ける。





ジン「…オッパ、もう行くね。」


『え……どうして?まだ再会したばかり…』


ジン「前も言っただろ。僕達は一緒に居ちゃいけない。」


『…』


ジン「それに……迷惑なんだよ。
オッパは忙しいから○○に構ってる暇無いの。じゃあね。」





冷たく突き放すようにそう言った彼の声は、震えていた。


…どうして泣いてるの?


本当は、私と同じ気持ちなんだよね…?


あの日私があなたに言えなかった5文字。


今なら言える気がするよ。





『…いかないで』


ジン「っ…」


『一人になるのは嫌。オッパとずっと一緒にいたいです。』


ジン「○○…」


『オッパが言ってくれたんですよ?
行って欲しくないなら行かないでって、言っていいんだって。』





“ヤー○○。君はまだそんな我慢を覚えなくていいんだよ。”



“寂しかったら寂しい、行って欲しくないなら行かないでって、言っていいんだ。”





いつかオッパが私に言ってくれた言葉。


私あの時、すごくすごく嬉しかった。





ジン「オッパも○○と一緒に居たいよ。
でも…」


『知ってます。』


ジン「…え?」


『全部聞きました。
誰からかは思い出せないですけど……きっと大切な人が教えてくれました。』


ジン「…」


『私はオッパと一緒に居たいです。たとえ長く生きられなかったとしても。』


ジン「○○…」





どこか嬉しそうな、でもどこか困ったような顔をした彼は、私を諭すように言葉を続けた。





ジン「○○?君はまだ若いんだ…これから僕より素敵な人が絶対現れる。だからそんなもったいないことしちゃいけないよ。」





眉を下げて微笑んだオッパは“わかった?”と言って優しく私の頭を撫でる。





『…私、オッパが思ってるよりも一途ですよ?』


ジン「え?」





チュッ…





ジン「…っ!」

12ー2,確かな幸せ→←11ー9,天邪鬼【ユンギ視点】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
52人がお気に入り
設定タグ:BTS , 恋愛 , ファンタジー   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます!感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます!今後の作品も応援していただけると嬉しいです! (2023年4月1日 8時) (レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します!なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです! (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね! (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…!いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています!! (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします! (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:なーさ | 作成日時:2021年6月15日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。