キミ色に染めて (ページ10)

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手のぬくもりをページ10

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『っ、ねえ、北ちゃん！北ちゃんってばっ！』

私の呼び掛けに応えてくれず、早歩きでどんどん戻っていく北ちゃんの横顔は、怒りにも似た悲しい表情だった。

いつの間にか目の前にはさっき私のことを話していた他の学校の男の子達。頭の中はなんで、とか、どうして、でいっぱいだった。

｢あの、！｣

｢…はい？え、なに。｣

｢謝ってもらえますか。｣

｢は？｣

｢彼女に、謝ってください。｣

｢なに、急に。意味分かんねえよ。｣

｢分からない？根も葉もない噂話真に受けて、彼女傷付けるようなこと言ったのを謝れって言ってるんです。｣

『っ、北ちゃん、もういいから、』

｢よくない。いいわけないでしょ。誰であろうと、無責任に人の価値を下げるようなこと、言っちゃだめなんだよ。それが例え、自分自身でも。｣

"誰かの価値を下げるようなこと、言ったらダメだよ。"

あの日、私が北ちゃんを好きになった日のことが、走馬灯のように頭に浮かんだ。

同じ言葉だけどあの時とは違う。それはきっと、自分自身でもという私へのメッセージも込められていたからだと思う。

気にしてない。言われても平気。そうやって大丈夫な自分を演じることで、私が私を追い詰めていたことを、北ちゃんは気付いていたんだと思う。

私の腕をしっかり掴み、力強く相手を見据えた北ちゃんは、もう一度、謝ってくださいと言葉を発した。

｢なんなんだよ、お前。ああ、もしかして自分が彼氏だとか思っちゃってんの？｣

｢え、可哀想。君は遊ばれてるだけだよ？｣

北｢彼女はそんな事するような子じゃない。｣

｢っ、うぜえんだよてめえ。｣

『ちょっと、やめてっ！』

｢どけ、クソビッチ！｣

北｢っ、Aちゃん！｣

腹を立てて北ちゃんの胸倉を掴んだ相手を止めようとした時、私はもう一人に突き飛ばされその場に倒れ込んでしまった。

その拍子に掴まれていた腕も離れ、そして私の名前を叫んだ北ちゃんは、二人掛りで路地裏へ連れ込まれてしまった。

『っ、どうしよ、北ちゃんが、っ！』

恐怖と痛みで中々立ち上がれない私は、縋る思いで壱馬に電話を掛けた。

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