My prayer ページ34
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壱「なに?それ。」
『ん?昨日貰ったの。ねえねえ、誰か土曜日暇だったりしない?』
壱「土曜か…特になんもないけど。」
慎「俺店の手伝いあるから無理だー。」
樹「あー、マースがトリミングの日だから夕方過ぎなら大丈夫。」
昨日、好きな人でも誘って行ってきたら、とバイト先の店長がくれたカップルシートで観れる映画の試写会のペアチケット。休み時間に開いた手帳から出てきて手に取った。
好きな人。北ちゃんを誘って一緒に行けたら店長もあげた甲斐があると思ってくれるんだろうけど、彼女がいると分かった以上誘うことは出来ない。
『13時からで時間決まっちゃってるから、じゃあ壱馬一緒に行ける?』
壱「ん、ええよ。」
翔「なになに?何の話?」
『おかえり。土曜日、これ行こうって話してて。』
翔「あ、それ北ちゃんが観たいって言ってたやつじゃない?」
北「え?ああ、それか。うん、面白そうだよね。」
『そう、なんだ。』
教室に戻ってきた北ちゃん達に、もらった鑑賞券を見せるとまさかの話が。
北ちゃん、これ観たいんだ。面白いん?と壱馬もあんまり知らないみたいだし、人から貰った物をあげるのはちょっと抵抗あるけど、どうせなら興味がある人が行った方がいいと思う。
『もし良かったら、これ、二人で行って?』
北「え?」
翔「俺と?」
『あ、えっと…そうじゃなくて。これ、カップルシートだから、その、お二人でどうかなって。』
北「あー…、そういうこと。」
樹「北ちゃんAが知ってるって知ってたの?」
壱「俺が言った、それは。」
翔「ちょ、ちょっと待って!なに、どういうこと!?」
慎「あ、そっか。翔吾にまだ何も話してなかったね。」
時間が許す限りではあったけど、一通り事情を説明して、授業が始まってしまう為それぞれ席に戻る。
映画のチケットはまだ私の手元に残ったままで、自分から声を掛けといて北ちゃんが彼女と観に行く絵面を想像して、チクッと胸が傷んだ。
授業中、目の前に座る北ちゃんから、折り曲げられたノートの切れ端をそっと机に置かれた。チケットありがとう、とかだったら更に辛くなりそうと、恐る恐る中を開いた。
『…え、』
そこには、"さっきのやつ、一緒に行きませんか?"という北ちゃんからのメッセージ。
ついこの前までの自分なら嬉しくて仕方なかったと思う。でも今は、違う。思わせぶりなことしないでと、余計悲しくなった。
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作者名:noa | 作成日時:2021年2月22日 17時