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ただ君の ページ31

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壱馬は僕の気持ちを知っているから、驚くわけでも喜ぶわけでもなかったけど、終わらせるつもりでいると知った慎達は、北ちゃんが悲しまなくて済んだなら良かった、と資料室を出る時に言ってくれた。





美「え、」




ちょうど廊下に出たところで、美咲と鉢合わせになった。慎達と一緒にいる僕を見て、一瞬声を上げたものの、何も言わずにそのままその場を離れていった。


きっと今頃、色々混乱してるんだろうな。なんで僕がこの三人と一緒なんだ、もしかしたら昨日のこと話されたかもしれない、でも付き合ってることは言ってないはず、と。






慎「本当に全然絡まないんだね、二人とも。」

「そうしたいって言われてたから、僕もそこまで関わろうとしなかったんだよね。」

樹「あれじゃ別れたくもなるわ。」

壱「ほんまに好きなんか分からんくなるよな。」






最初は彼女の希望ならと、優しさのつもりで了承してたと思ってたけど、もしかしたら僕自身も、そうしても何とも思わなかったからなのかもしれない。


もしAちゃんが相手だったらって改めて考えたら、不安だし嫌だし、どうして?って絶対聞くと思う。


もう既に別の話で盛り上がっている樹と慎と少し距離が離れたところで、壱馬が徐ろに口を開いた。







壱「この前、北人言うたやろ?後悔しないんかって。」

「うん。」

壱「俺多分、後悔せえへんと思うわ。」

「…そっか。」

壱「良い結果にならん限り、当たり前が当たり前じゃなくなんねん。そんなん耐えられんやろ。」

「そうかも、ね。」






壱馬に比べたら浅いけど、でもAちゃんと今みたいな関係でいられなくなる可能性があることは、僕自身も好きだと伝えるのに躊躇する部分ではあった。


もしもの事があったら、何年も一緒にいて想い続けてきた壱馬は僕なんかよりもっと辛い結果になる。だからこれ以上はもう何も言えなかった。







壱「まっ、そういうことよ。…それと、Aな、俺達が話してるん聞いて、北人に彼女おるって知っとんねん。まさか聞かれとるなんて思わんかったから、ごめん。」

「…そう、なんだ。ううん、仕方ないよ。」

壱「俺が口出すことやないけど、早いとこケリつけた方が良いかもしれへんな。」

「そうだね、」






彼女がいると知った以上、僕を好きになってもらう可能性は低くなる。


休みの日までなんて、もう待てない。最後くらい、自分のわがままを通しても、きっとバチは当たらないよね。




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設定タグ:吉野北人 , 川村壱馬 , THERAMPAGE   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:noa | 作成日時:2021年2月22日 17時

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