会えない時が ページ24
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｢長谷川くんって、西高だよね？｣
慎｢…そう、だけど。｣
よく行くショップの店員さんに頼まれた合コン。入手困難のどうしても欲しかったスニーカーが手に入るならと仕方なく来たものの、全くもって興味がない俺は女の子達の自己紹介すらまともに聞いてなかった。
早く終わんないかなと考えながら携帯でゲームをしていると、隣に一人の女の子が座ってきた。
高校の名前なんて言ってないのに、この人なんで知ってるんだろう。
｢私、分かる？｣
慎｢どっかで会ったことあったっけ、｣
｢会ったことっていうか、私は結構よく見るかも。｣
慎｢…なに、なんか怖いんだけど。｣
｢もー、ひどいなあ。隣のクラスの安西。安西美咲です。｣
慎｢安西……え！？｣
その子が名前を言った瞬間、思わず声を上げてしまった。それはつい昨日、翔吾から聞いた名前だった。北ちゃんの彼女の、安西美咲。
いやでも彼氏いんのに合コンなんか来るわけないよね。じゃあ、同姓同名、とか？
｢もしかして、知っててくれてたりした？｣
慎｢あ、いや…隣のクラスって聞いてびっくりしただけ。｣
｢えー、ちょっとショック。｣
慎｢ねえ、安西って苗字の人、他にいるっけ？｣
｢ううん、いないと思うけど。｣
慎｢だよ、ね。｣
やっぱりそうだ。この人が北ちゃんの彼女の安西美咲だ。
だとしたらなんで合コンなんかに。北ちゃんという存在がありながら、おかしいでしょ。でも、俺と同じで誰かに頼まれただけって可能性もある。
慎｢安西さん彼氏いないの？｣
｢いたら来ないよー、合コンなんか。それに私ね、まだ一度も彼氏出来たことないし。｣
慎｢あ、そう。｣
｢でも意外だな、長谷川くんモテそうだから彼女いると思ってた。｣
慎｢今日はどうしてもって頼まれて来ただけだから。｣
｢なんだ、残念。｣
は？なにが残念なの？意味分かんないんだけど。
あんまり友達の好きな人のこと悪く言いたくないけど、北ちゃんの彼女だからこんなこと本当は言いたくないんだけど、俺無理、この人。
同姓同名なんじゃないか、頼まれて来ただけなんじゃないか、もしかしたら今日別れたばっかなんじゃないか。そんなことを考えた自分が馬鹿らしくなった。
彼氏出来たことないなんて、よく言えたな。こんな人の為に、Aを諦めさせるなんてもう考えられない。
慎｢ごめん、俺帰る。｣
とにかく早く壱馬達に話さなきゃ。
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作者名：noa | 作成日時：2021年2月22日 17時
