僕を苦しめるけど ページ23
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いつから壱馬がAちゃんのことをそう想っているのか分からない。昔からだとしたら、今まで伝えない理由は四人の関係を壊したくないからなのかもしれない。
壱馬が本気でAちゃんに向き合ったら僕に勝ち目はないかもしれない。それでも壱馬には正直でいてほしかったんだ。
｢やっぱり直接言うべきだよね。｣
翔｢なにが？｣
｢終わりにしようって。｣
翔｢あー…、うん。そうだね。その方がいいと思う。｣
｢だよね…。｣
壱馬と別れ教室に戻る途中、美咲に今日学校が終わってから会えるか確認の連絡を入れた。
ちょうど教室に着いた時、今日は予定があるから無理ということと、誰かに見られたら嫌だから休みの日がいいと返信があった。
僕の勝手な気持ちの変化でこんなこと思うのは間違ってるけど、付き合ってるという意味もなさないこの関係を今すぐ終わりにしたい。
仕方なく、分かったと返事をして席に戻ると、普段あまり大きな声を出さないAちゃんが珍しく声を上げた。
『え！？まこっちゃんが！？』
慎｢ちょ、声がでかいって！｣
｢どうしたの？｣
樹｢慎が合コン行くんだって。｣
｢合コン？慎ってそういうところ行くんだ。｣
慎｢いや普段絶対行かないよ！？…けどどうしてもって知り合いに頼まれてさ。｣
樹｢どうせレア物のスニーカーと引き換えにOKしたんだろ。｣
慎｢え、なんで分かったの。あれどうしても欲しくてさー…。｣
『合コンかあ…』
興味津々な様子のAちゃんを見て、ちょっと焦ってしまう。
当たり前に壱馬か僕どっちかみたいな気持ちでいたけど、そもそもAちゃんが好きになってくれるとは限らないわけで。
｢…Aちゃんは、合コンとか行くの？｣
『えっ、全然！一度も行ったことないよ！』
慎｢俺達、揃いも揃って人見知りだしね。｣
｢そうなんだ、そっか。｣
樹｢北ちゃんは？｣
｢いや、僕も一度も。｣
『行きたいとか、思う？』
｢んー、僕はいいかな。｣
『…彼女欲しいとか、そういうのもないの？』
｢っ、…どう、だろう。あんまり考えたことないかな。｣
僕は咄嗟に嘘を吐いた。既に彼女がいることを知る慎達の前で。
二人とも、隠していることを聞いていたからなのか僕の嘘には何も言わず、Aちゃんに知られることなく話を終わらせられて、僕はホッと胸を撫で下ろした。
まさか知られる日がすぐ来てしまうなんて、この時は考えもしなかった。
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作者名：noa | 作成日時：2021年2月22日 17時
