止められない ページ3
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｢うわー…、Aさんだったか、最悪だ…。うわ、しかも全員同じクラスじゃん！俺死ぬかも…。｣
｢なに言ってるの翔吾。ぶつかっちゃっただけで大袈裟、｣
｢だってAさんだよ！？あの人達になにされるか…。｣
｢あの人達って、…えっと、話が全然見えないんだけど。｣
｢だーかーら、あそこ！｣
翔吾は教室のドアに隠れながら、周りに気付かれないようにある場所を指差した。その方向を見ると、さっき翔吾とぶつかったAさんと、三人の男子生徒の姿が。
｢は！？なんやねんこいつ。さっきからちょろちょろしやがって。｣
スマホのゲームをしながら見るからにサラサラな黒髪をかき上げ、少し胸元をはだけさせた制服を身にまとい時折関西弁を話す彼は、川村壱馬。校内一人気の男子生徒。普段はクールで無口な彼が、仲間内にだけ見せる砕けた笑顔見たさに休み時間になると彼のいる場所に女の子が群がる。
｢もー…、今日だめな日だ。全然髪型キマんなかった、最悪。｣
机に置かれた鏡を見ながら綺麗に青く染まった髪を触る、ブレザーの下にパーカーを着るスタイルの彼が長谷川慎。彼がキャップを被って登校して来る日は、絶対に寝癖が酷い日らしい。三人の中で一番柔らかい印象で優しい彼。でも秘密主義。何を聞かれても、教えません、と笑顔で答えるファッションリーダーだ。
｢ちょっと見てよ、めっちゃ可愛くない？昨日のマース。あ、こっちは今朝のマースなんだけどさ、｣
呆れ顔のAさんに、そんなことを全くお構いなしな様子でスマホの画面を見せ続けている彼が藤原樹。特別着崩していないのに、なんで格好良く制服を着こなしているように見えるのか不思議で仕方ない。ペットは飼い主に似るというけど、彼の場合飼い主が似ているらしく、人見知りでシャイな上に気まぐれで、猫のような性格。
そして、
『いっちゃんさあ、毎日マースの写真見せてくるんだから送らなくていいのに。私のアルバム、マースだらけだよ？』
明る過ぎず暗過ぎない茶色、というかミルクティー色のロングヘアで、少し高い声で柔らかく話している彼女が、さっき翔吾とぶつかったAA。誰が見ても可愛いと思うような女の子。確か雑誌のモデルかなにかをやってるとかやってないとか。
それにしても、こうしてみると四人とも、僕とは住む世界が違う人達だ。
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作者名：noa | 作成日時：2021年2月22日 17時
