他の誰かを ページ20
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｢ねえ翔吾、僕今どんな顔してる？｣
翔｢正直に、言っていいの？｣
｢うん。｣
翔｢…もうなんか、好きで堪んないって顔してる。｣
｢だよ、ね。｣
じゃなきゃ絶対言わないもんな、いつでも繋いでいいなんて。しかも、彼女がいる分際で。
好きだと気付いてしまった以上、もう後戻りなんてきっとできない。これからAちゃんを見る度に、触れ合う度に、もっともっとそう思っていくはず。そうしないと自分で決めても、感情には逆らえないだろうから。
だからそうなる前に、僕にはやらなきゃいけないことがある。壱馬に言われた通り、中途半端な事をしてAちゃんを傷付けてしまわないように。
｢え、北人どうしたの？｣
｢喧嘩？そんなわけないか、北人だし。｣
翔｢あのなー、北ちゃんだってやる時はやるんだからな！｣
北｢ちょっと変な言い方しないでよ。なんかそれ、誤解を生むでしょ。｣
学校に着くと案の定、すれ違う友達にが僕の顔の傷を見て驚き声を掛けてきた。適当に笑ってごまかしたりして、何とか大事にはならずに済みそうな感じに収めて教室へ向かう途中、クラスメイトと歩く美咲の姿を見つけた。
一瞬目が合ったものの、いつものようにすぐ逸らされだけど、逸らす前に止まった視線の先で傷に気付いたことは分かる。けど、もちろんその場でどうしたの？なんて聞かれるわけもなく、ただそのまますれ違って行った。
翔｢北ちゃん、安西さんどうすんの？｣
｢ちゃんとするよ。終わりにしたいって、ちゃんと言う。けど、学校じゃ話せなそうだな。｣
翔｢…だね。今だって完全スルーだし。普通彼氏が怪我してたらもっと心配しない！？｣
｢まあ、そこまで僕に興味ないんじゃないかな。｣
翔｢俺、こんな事言っていいか分かんないけどさ、北ちゃんのこと、本当に好きなのかなってずっと思ってた。｣
僕も、ずっと思ってたよ。でもそれは、自分に対しても言えることなんだ。Aちゃんを好きだと気付いた今、余計に思う。
守りたいとか、愛おしいとか、そういう感情を
たまたまAちゃんにそういう要素があっただけかもしれないけど、自分自身の気持ちがもう根本的に違う。
比較的よく話す女子で、悪い子ではないと思ってて、そしたら告白されて、僕も好きかなって思って。今Aちゃんに抱く感情とは、何もかもが全部、全然違った。
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作者名：noa | 作成日時：2021年2月22日 17時
