隣にいたい ページ17
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｢そうだ、昨日ごめんね。先に帰ってもらっちゃって。｣
翔｢あー、ううん。全然。大丈夫だった？｣
｢うん。Aちゃんのこと、ありがとうって。｣
翔｢そっか。…それだけ？あと何か言ってなかった？｣
｢なんで？｣
翔｢あ、いや…なんとなく？｣
｢なに？なんかあるでしょ。｣
翔吾は本当に分かりやすいタイプだから、なんとなくで聞いたわけじゃないとすぐに分かった。
本当になんでもない！という翔吾に、ふーん。と返すと、そこで終わりにしておけばいいものの、やっぱり隠しておけなかったみたいで、横にいた身を僕の前に置き、僕に向かってガバッと頭を大きく下げた。
翔｢北ちゃんごめん！…昨日二人が出て行ったあと、壱馬達に北ちゃんに彼女いること話した…。｣
｢…え、それだけ？｣
翔｢それだけって、だって隠してたのに話したんだよ！？俺。｣
｢別にいいよ、壱馬達だし。それに、僕が隠してたいわけじゃないから。けど、なんで急に？なんかそんな話になったの？｣
翔｢まあ、話の流れでちょっとそうなって…それで、つい。｣
｢そっか。でも壱馬、そのことについては何も、｣
あれ、ちょっと待って。昨日の壱馬の言葉の意味が、ようやく理解出来たかもしれない。
"中途半端なことしてA傷付けんのだけは、やめてな。"
今の今まで全然理解が出来なかったけど、もし壱馬が僕に彼女がいることを知ってたら、分かる。
僕の頭に真っ先に浮かんだのがAちゃんで、イコール僕が一番幸せにしたい好きな人だと壱馬は思ってる。でも僕には彼女がいる。
だから壱馬はあんな風に。
翔｢…ちゃん？おーい、北ちゃん！｣
｢え？あ、ごめんごめん。全然いいよ、気にしないで。｣
翔｢いや、そうじゃなくて…。｣
｢ん？｣
つい自分の世界に入り昨日の事を考えてしまって、翔吾に肩を叩かれて現実に引き戻された。
とにかく話してしまったことは気にしないでと改めて伝えると、どうやら求めていた答えとは違ったようで、翔吾は僕達の歩く少し前の方に向かって指を差した。
翔吾の示す方を見ると、そこにはAちゃんの姿が。僕が気付いたのを知って、少し眉を下げて微笑み手を振っていた。
｢え、Aちゃん！？｣
『…おはよ。』
｢おはよ…って、なんで？Aちゃん家こっちじゃないよね？｣
学校に着くまでに気持ちを整えようと思ってた僕の予定が、大幅に狂ってしまった。
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作者名：noa | 作成日時：2021年2月22日 17時
